中国の高速道路で電気自動車が「エラい目」に ユーザー急増で「充電の渋滞」が発生
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【10月14日 東方新報】中国は10月1日の国慶節(建国記念日)から7日まで秋の大型連休を迎えたが、今年は「電気自動車で高速道路を走ったら、エラい目に遭った」という複数の体験談が話題となった。
「8時間のドライブのはずが16時間。渋滞したのは、高速道路でなく充電ステーションだった」。1日に中国南部の深セン市(Shenzhen)から湖南省(Hunan)に電気自動車で帰省したユーザーがSNSにショートビデオを投稿し、ネット上でトレンド入りした。道路状況はスムーズだったが、充電ステーションの行列で4時間、さらに充電で1時間を要した。待機中はトイレにも行けないので、水を飲むのも控えたという。
別のドライバーも「運転中に電池が切れそうになったため、車内温度が一時は40度近くになったがエアコンをつけるのを我慢した」という過酷な体験を披露。別のユーザーは「ガソリン車の友人とドライブしたが、目的地に着いた時間は大幅に違った。私の電気自動車は途中で2回充電し、1回の充電時間は30分以上。友人は給油が1回だけで時間も数分で済んだ」と報告した。
国営電力配送会社の国家電網によると、今月1日の高速道路での充電設備の充電量は、通常の4倍にあたる142万9200キロワット時となり、過去最高を記録した。電気自動車がそれだけ殺到したため、各地で「充電渋滞」が発生した。
中国では9月末時点で、電気自動車などの新エネルギー車は678万台に達している。今年に入ってからの新規登録台数は187万台と急激な勢いで増えている。国慶節で初めて長距離ドライブをするユーザーも多かったようだ。メーカーが「1回の充電で走行距離300キロ」とうたう電気自動車が実際には200キロほどで充電が必要になることも多く、ドライバーたちが困惑する大きな要因となった。
電気自動車メーカーの上海蔚来汽車(NIO)は「当面は良い方法がなく、充電ステーションを今後増やしていく」、小鵬汽車(XPeng)も「携帯型充電器を使ってゆっくり走行してほしい」と呼びかけている。現時点では「どうしようもない」ということだ。
電気自動車は日常生活の「普段使い」では大きな力を発揮する。あるユーザーは「燃費は10キロにつき1元(約17円)程度。街中を走るだけなら1か月100元(約1740円)ぐらいで済む。ガソリン車だったら数百元から1000元(約1万740円)かかる」とメリットを説明する。
8月時点で全国の充電ステーションにある充電パイルは約210万台あり、車両との比率はおおむね3:1となっている。計算上はニーズを満たす数だが、充電に長時間かかるため土日にステーションを訪れるユーザーが多く、やはり「充電渋滞」が起きやすい。また、政府の補助金目当てで業者がへんぴな場所にステーションを建設し実際は利用されていない所もあれば、逆に都心の過当競争で業者が廃業し、「ゾンビ化」しているステーションもある。
中国政府は電気自動車を経済成長の柱の一つとしており、二酸化炭素(CO2)排出削減の切り札にも位置付けているが、電気自動車をサポートする環境整備も急務となっている。(c)東方新報/AFPBB News