【3月24日 AFP】(更新)ワールドアスレティックス(World Athletics、世界陸連)は23日の意志決定会議で、思春期を男性として過ごしたトランスジェンダー選手について、男性ホルモンのテストステロン値にかかわらず、女子陸上競技への参加を禁ずることを決めた。セバスチャン・コー(Sebastian Coe)会長が発表した。

 禁止措置は今月31日以降の世界ランキング対象大会から有効となる。コー氏は、この問題について国際オリンピック委員会(IOC)や各国の連盟を含む関係機関と協議した結果、トランスジェンダー選手は女子競技に参加すべきではないとの意見が大半だったと説明。

 一方で、禁止措置は「恒久的なものではない」とし、トランスジェンダー当事者が率いる作業部会を設立し、トランスジェンダー選手が持ちうる身体的優位性に関する科学研究の進展を監視していく意向を示した。

 スポーツ界では、ワールドアクアティクス(World Aquatics、世界水連)も思春期を男性として過ごしたトランスジェンダー選手が女子のエリートレースに参加することを禁じており、それに追随する決定となった。

 世界陸連はまた、女子800メートルで2度の金メダルに輝くキャスター・セメンヤ(Caster Semenya、南アフリカ)を代表とする「体の性のさまざまな発達状態(性分化疾患、DSD)」と分類される選手に関する規定も変更した。

 従来の規定では、DSDの選手が女子種目に参加するには血中のテストステロン値を1年間にわたって1リットル当たり5ナノモル以下にすることが求められていたが、今後は同2.5ナノモル以下に減らし、数値を維持しなくてはならない期間も2年に伸ばされた。

 また、DSDの選手に関する規定はこれまで400メートルから1マイル(約1600メートル)の種目にのみ適用されていたが、今後は全種目が対象となる。(c)AFP/Luke PHILLIPS