【3月12日 AFP】現在フランスの音楽界を最も席巻してる人気シンガーのアヤ・ナカムラ(Aya Nakamura)さん(28)が、パリ五輪の開会式で同国の名歌手エディット・ピアフ(Edith Piaf)さんの楽曲を歌う可能性があるとの報道に対し、極右グループから怒りの声が上がっている。

 地元メディアによるとマリ出身のナカムラさんは先月、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領と面会した際に、20世紀のアイコン的存在であるピアフさんの楽曲を披露する可能性について話し合ったとされている。この臆測については、どちらの陣営も認めていない。

 ところがこうした報道によって、仏大統領選の候補者にもなった極右評論家のエリック・ゼムール(Eric Zemmour)氏が率いる政党が11日に開いた集会では、ナカムラさんの名前に観衆からブーイングが上がる騒動に発展。小規模な過激グループは、セーヌ(Seine)川に「アヤなんてあり得ない。ここはパリであり(マリの首都)バマコの市場ではない」との横断幕を掲げていた。

 こうした状況に対し、ユーチューブだけで10億近くのストリーミング回数を記録している「ジャジャ(Djadja)」などのヒット曲を持つ世界的なポップ歌手であるナカムラさんは、「人種差別主義者になっても、耳が聞こえなくなってはいけない。それは自分たちを傷つける! 私が議論でナンバー1のターゲットになっているようだけれど、あなたたちには何の借りもないはずでしょう?」とソーシャルメディア上で反論した。

 パリ五輪の大会組織委員会はAFPの取材で、「アヤ・ナカムラさんへの最近の人種差別的な攻撃に非常にショックを受けている。世界で最も聴かれている仏アーティスト(ナカムラさん)を全面的にサポートする」と述べた。

 アメリー・ウデアカステラ(Amelie Oudea-Castera)国民教育・スポーツ相も、ナカムラさんに対して「気にしないで、みんなあなたのことが大好き。何も心配ありません」と呼び掛けた。(c)AFP