
古タイヤ、空きビン、缶、ペットボトル——。これらを建築材として生かす取り組み「アースシップ」が米国で始まった。将来アフリカでアースシップの映像学校をつくることを目指し、「アースシップ建設プロジェクトinマラウィ」に参加したNPO法人地球映像ネットワークアフリカ担当の足立真希さんに寄稿してもらった。
古タイヤ、空きビン、缶、ペットボトル。これらを目にした時、あなたにはどう映りますか。ゴミでしょうか。資源でしょうか。子どもにとっては遊び道具に見えるかもしれません。
ビンや缶の廃棄処理が問題になった、今から30年以上前。アメリカのニューメキシコ州タオスで、建築家のマイケル・レイノルド氏は、これらの廃材を「建築材」として使うことを考えました。
消費するだけではなく、使うものを地球と同じように循環させ、地球と分かち合う生活を送るためには、どうしたら良いか。その命題に対して、レイノルド氏は住居と生活に必要なものすべてをリサイクルさせ、自然エネルギーを活用することを考えました。それが「アースシップ」です。
アースシップは太陽と空、そして大地からすべてのエネルギーを得ています。電気は太陽や風から発電し、水は雨水を貯めて使用します。水は屋内でリサイクルされる仕組みになっていて、シャワーで1度使われた水はトイレの水に。さらにその水は石や砂を使ったろ過装置を経て、屋内や建物の前にある庭に流れ込みます。
庭に植えられた野菜や植物は、太陽の光とリサイクルされた水で育てられ、1年を通して食料を得ることができます。
アースシップは現代の「ノアの方舟」です。1つの建物のなかで生活に必要なエネルギーをまかない、快適で自由な空間がそこにはあります。アースシップはレイノルド氏が設立した「アースシップ・バイオテクチャー」という建築団体とボランティアによって、ヨーロッパ、アジア、アフリカと世界中に広がっています。