家族がテーマになっているだけでイヤミスの要素あり、と思う私の心が荒んでいるのだろうか。丁寧に紡がれた描写によって不穏な空気に包まれたまま読み進めていくと、突然オチで意外な結末が提示されて動転し、つい、読み返す。そんなことを繰り返しながら九篇一気に読んでしまった。
イヤミスと称されるだけあって当然ハッピーエンドとはいかないが(救いのあるラストもある)、どんな結末であっても不思議と読後感が悪くないのは、各話の主人公がそれぞれの与えられた境遇を一生懸命生きていて、そこに感情移入してしまうからだろう。共感を呼ぶ主人公、漫画原作者らしいキャラ描写といえるかも知れない。そして「意外な結末」と言われて身構えて読んでいるつもりが作者の見事な手腕にあっさり騙される、それ自体の爽快感も手伝ったかもしれない。
本作のレビューとして正しいかはわからないが、私にとっては「家族を大切にしよう」と思えた一冊だった。色んな意味で。
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夫の骨 (祥伝社文庫) Kindle版
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昨年、夫の孝之が事故死した。まるで二年前に他界した義母佳子の魂の緒に搦め捕られたように。血縁のない母を「佳子さん」と呼び、他人行儀な態度を崩さなかった夫。その遺品を整理するうち、私は小さな桐箱の中に乳児の骨を見つける。夫の死は本当に事故だったのか、その骨は誰の子のものなのか。猜疑心に囚われた私は……。(『夫の骨』)家族の“軋み”を鋭く捉えた九編。
- 言語日本語
- 出版社祥伝社
- 発売日2019/4/20
- ファイルサイズ2158 KB
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商品の説明
著者について
一九七六年、青森県生まれ。弘前大学卒業。第十回『このミステリーがすごい! 』大賞の隠し玉として『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』でデビュー。他の著書に『がらくた少女と人喰い煙突』がある。漫画原作に、テレビドラマ化された『あいの結婚相談所』、十五万部超のヒット作『バカレイドッグス』(電子書籍版を含む)などがある。
登録情報
- ASIN : B0863K1XLN
- 出版社 : 祥伝社 (2019/4/20)
- 発売日 : 2019/4/20
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 2158 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 244ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 100,776位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- - 251位祥伝社文庫
- - 1,842位日本文学研究
- - 2,100位評論・文学研究 (Kindleストア)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1976年青森市生まれ。漫画原作者/作家(似顔絵は漫画家の青野春秋先生に描いていただいたもの)
実の妹とコンビを組み《加藤山羊》の合同ペンネームで2002年スピリッツ増刊(小学館)にてデビュー。
2008年、サスペンス漫画『イノセントブローカー』(小学館)発売。2010年、ホラー漫画『女囚霊 塀の中の殺人ゲーム』(小学館)発売。2011年、ビッグコミックオリジナル増刊(小学館)にて『あいの結婚相談所』連載(単行本1~4集発売中)2014年、『禁忌 絶対にやってはいけない13のこと』(秋田書店)発売。2017年、週刊ヤングマガジン(講談社)にて『バカレイドッグス』連載(単行本1~3巻発売中)
2012年、第10回「このミステリーがすごい!」大賞に応募した長編ミステリーが《隠し玉》に選ばれ、『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』(宝島社)として刊行。2017年、『Sのため...』の桜木シリーズの続編である長編ミステリー『がらくた少女と人喰い煙突』(河出文庫)発売。2019年4月12日、最新刊のミステリー短編集『夫の骨』(祥伝社文庫)発売。
カスタマーレビュー
星5つ中3.8つ
5つのうち3.8つ
117グローバルレーティング
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年9月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
家族だけが知る家庭内のゆがみ、謎。それを短い推理劇にした短編集だ。それぞれの物語は
30-40ページほどの短いものだが、家族の中の怖さや悲しみがうまく表現されており、展開も読めず、
短編推理小説としても面白いものになっている。全般的に「薄味」になっている物足りなさはあるが、
ひねりの利かせ方などは巧みだと思う。
30-40ページほどの短いものだが、家族の中の怖さや悲しみがうまく表現されており、展開も読めず、
短編推理小説としても面白いものになっている。全般的に「薄味」になっている物足りなさはあるが、
ひねりの利かせ方などは巧みだと思う。
2019年6月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
どの作品も伏線があって最後にそうかと思わせるが、読んでいて疲れる。多分この作者の本はもう読まないと思う。新聞などの書評に惹かれたのと題に興味を覚えて読んでみたが自分には合わないと感じた。
2019年5月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
表題作の「夫の骨」が最初に収録されていますが、この並びは大正解だと思いました。しょっぱなから「あっ…!」と…最後の一行が未だに頭から離れません。続きを読むしかなくなります。
全てのお話で、一言で、一行で、それまでの「自然な流れ」が「全く違う流れ」に豹変するのは騙される快感とでも言いましょうか。
一気読みしましたが、短編集ですので、少しずつ読んでじっくり味わうのも良いと思います。
久しぶりにドキドキしながら本を読みました。
全てのお話で、一言で、一行で、それまでの「自然な流れ」が「全く違う流れ」に豹変するのは騙される快感とでも言いましょうか。
一気読みしましたが、短編集ですので、少しずつ読んでじっくり味わうのも良いと思います。
久しぶりにドキドキしながら本を読みました。
2022年9月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
こうなるのかなと思っていた事が外れて違う結末だったのがおもしろかったです。
2019年5月1日に日本でレビュー済み
本屋さんでパラパラと拾い読みし、初挑戦した矢樹純の『夫の骨』は素晴らしかった。
9つの短編が収録されているが、いずれの作品も行間から得も言われぬ不穏な空気が漂っており、ハラハラしっ放し。
そして、ポンと置かれた1文で見事に意表を突かれ、う、やられたなと思う。
表現の妙にも感心しきり。
ああ、今も胸騒ぎが治まらない。
と、べた褒めしつつ、実は6話目の「虚ろの檻」を上手く理解出来なかった。
2度3度読み返してみたが、やっぱりしっくりこなかった。
どうにも落ち着かず、ネットで調べてみた。
しかし、「虚ろの檻」について解説してくれているウェブサイトには巡り合えなかった。
そこで諦めればいいものを、作者ご本人のツイッターを発見し、だったらいっそのこと、と思ってしまった愚か者。
勇気を出して直接質問したところ、程なくしてとても丁寧な説明を返して頂き、嬉しいやら吃驚するやら申し訳ないやら・・・。
30数年前、思い余って三浦哲郎さんにファンレターを書き送ったことを思い出しつつ。
9つの短編が収録されているが、いずれの作品も行間から得も言われぬ不穏な空気が漂っており、ハラハラしっ放し。
そして、ポンと置かれた1文で見事に意表を突かれ、う、やられたなと思う。
表現の妙にも感心しきり。
ああ、今も胸騒ぎが治まらない。
と、べた褒めしつつ、実は6話目の「虚ろの檻」を上手く理解出来なかった。
2度3度読み返してみたが、やっぱりしっくりこなかった。
どうにも落ち着かず、ネットで調べてみた。
しかし、「虚ろの檻」について解説してくれているウェブサイトには巡り合えなかった。
そこで諦めればいいものを、作者ご本人のツイッターを発見し、だったらいっそのこと、と思ってしまった愚か者。
勇気を出して直接質問したところ、程なくしてとても丁寧な説明を返して頂き、嬉しいやら吃驚するやら申し訳ないやら・・・。
30数年前、思い余って三浦哲郎さんにファンレターを書き送ったことを思い出しつつ。
2019年6月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読んでいてこれは松本清張とはりあうくらい面白かった。しかし最後の土壇場で余命わずかで仕事に息詰まったとはいえたまたま会って意気投合した人(Aさん)に自分が焼身自殺して生命保険を全額譲ることやそのあと自分は行方不明として毎月多額のお金をAさんから送金させたこと、自殺する前に子供の成長に合わせたなん十通もの手紙を用意しこれを
Aさんに死後送ってもらっていたことなど自分の家族をない殺しにした非常に後味の悪い作品だと思う。
Aさんに死後送ってもらっていたことなど自分の家族をない殺しにした非常に後味の悪い作品だと思う。
2021年8月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最初の表題作は切れ味もよかったけれど、家族をテーマにした面倒くさい関係のストーリーがずっとで、飽きてしまい途中まで脱落