この本は、明治という「元号」で区分された時代の歴史について書いたものです。
この本の構成は、学生と先生の質疑応答、問いに答えるという形です。
「明治の歴史のなかで、疑問に思っていることを生徒さん・学生さんに挙げてもらいました」(15頁)
それらの疑問をもとに立てられた、六つの問い。どれも大きな問いです。
その答えは、いかに。ワクワクしてきました。
先生たちは、回答に困り、「次の質問どうぞ」「次の質問どうぞ」と繰り返すばかり……
ではありませんので、安心して読み進むことができました。大満足の本です。
読者として、自分自身は次の問いを立てました。
<日清戦争はどうして起きたのか?> の問いは、なぜ本書では選ばれなかったのか?
「日露戦争はどうして起きたのか?」の問いは選ばれて、晴れて「第六講」にちゃんとあるのに、
<日清戦争>は「生徒さん・学生さん」の問いに挙げられなかったのでしょうか? なぜ?
答えらしきものは、すぐ本書の中に見つかりました。
「第一講 どうして明治史なのか?」の中で、「たとえば日清戦争」(24頁)として書かれていました。
「どうして日清戦争が起きたのかの説明として、最近よく見られるのは、伝統的な東アジアの国際体系に依拠する清国と、それとは異なる西洋型の国際体系を率先して受容し実践していった日本との間で起きた戦争という見方です」(24頁)
「ところが、この時期に関する政治外交史の研究によれば、日清戦争より以前、日本と清国の間の外交はほぼ一貫して協調関係にあり、日本で開戦が決意されるのも戦争の直前だったことが知られています」(25頁)
うーむ、なるほど。
日清戦争については、「最近の見方」と、「政治外交史の研究成果からの見方」とが違っており、どちらも通説とはなっていないようです。だから、この本では講義の問いとして選ばれなかったのかもしれません。
それでは、と「第六講 日露戦争はどうして起きたかのか?」にぶっ飛んで読んでみました。
講師は、千葉 功先生。
先生は二〇年以上も日露戦争の研究を続けられており、「千葉の仮説」(199頁)を立てて説明されています。
千葉先生は、「通説とはかなり異なった説明」(202頁)をされています。面白そう。
日清戦争以降の日本の対朝鮮政策から説明を始められています。
千葉先生は日露戦争の原因を考えるのにあたって、日清戦争以降の日本政府の対朝鮮政策を前提としています。
朝鮮でいろいろな事件があって日露開戦につながっていく。
その経緯が簡明に説明されています。まるで歴史ドラマのように生き生きと語られています。
「韓国に関して日本は幕末以前から自国の安全保障の問題として考えているところがありますので、韓国問題で戦争に踏み切ること自体は宣戦の詔勅における説得の論理としては妥当だったのではないかと思います」(227頁)
と「第六講 日露戦争はどうして起きたかのか?」を締めくくっています。
日清戦争以降の韓国問題が、日露戦争宣戦の詔勅における説得の論理となった……
日清戦争は日露戦争につながっていった、
(戦争は次々につながっていき、戦争が戦争を生み、絶えることはない……のだろうか?)
平成の時代には戦争が起こらず安堵した、というお言葉がまだ耳の奥に重く残っています。
来年から始まる、新しい元号の時代にも平和が続きますよう、祈るばかりです。
《備考》
歴史は見方次第でいろいろに見えます。万華鏡のようにきらきらと変わります。
百人いれば、百通りの見え方がありそうです。
歴史観は時代によっても変わります。天皇の元号で区分される皇国史観も戦後、大きく変わりました。
国民の通説となった歴史観も、つくられたもの、時代が変われば変わるのです。
歴史観は、それぞれの時代の一種の価値観みたいなものです。
<平成最後の年の明治史>を描いたこの本に、いまどきの若いもんはどんな反応をするのでしょうか?
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