今村優莉
新型コロナウイルスの感染経路について、これまで言われていた「飛沫(ひまつ)感染」よりも、より遠くまでウイルスが到達する「空気感染」する可能性があるとして、各国の専門家らが世界保健機関(WHO)に対策のガイドラインを変えるよう求める書簡を送りました。幼子2人を育てる記者は、外で子どもを遊ばせると、風にのってウイルス感染するのではないかと心配です。東京大学保健・健康推進本部の春原光宏助教に尋ねたところ、日本ではすでに「空気感染」への対策を呼びかけていたと言います。どういうことでしょうか。
――空気感染とは何でしょうか。
まず、感染というのは、病原体がヒトの中へ入り込むことでおこります。その中で、触ることでうつるのが接触感染、つばなどによってうつるものが飛沫感染です。そして、空気中を漂う病原体の粒子によってうつるのが「空気感染」です。
例えば、つばのなかにいっぱいある病原体の場合、粒が大きければポトンと落ちます。これを「飛沫」と呼ぶのに対し、周りの水分が蒸発して粒が軽くなったものを専門的に「飛沫核」と呼びます。この、ふわふわ漂う小さな粒子が空気を媒介してうつることで空気感染は起きます。
――これまで新型コロナは、飛沫感染と接触感染に気をつけてと言われています。なぜ空気感染は言われてこなかったのでしょうか。
新型コロナの空気感染はこれまでも、病院など特殊な場所においてのみ気をつけることだと言われていました。ただWHOへの書簡にあるように、普通の環境でも起こりうると考えられるようになりました。
――新たにどんな対策が必要でしょうか。
実は、日本ではすでに空気感染…