宮島・紅葉谷川「庭園砂防施設」国重文に 歴史的な価値

北村浩貴
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 宮島の世界遺産厳島神社広島県廿日市市)の近くを流れる紅葉谷川の「庭園砂防施設」が、国の重要文化財(建造物)に指定される見通しになった。16日、国の文化審議会が文部科学相に答申した。歴史的な価値や景観に配慮した形状が評価された。戦後造られた土木施設としては、全国初の指定になるという。

 弥山から厳島神社南側へ流れる紅葉谷川沿いには、紅葉の名所「紅葉谷公園」がある。重文指定区間は約688メートルに及び、高さ約3~3・5メートルの五つの堰堤(えんてい)や護岸施設などからなる。県によると、堰堤は段状で、川の勾配を緩めて土石流の勢いを抑える効果がある。

 紅葉谷川は1945年9月の枕崎台風で土石流が発生。厳島神社も大きな被害を被った。復旧に向けて国や県、住民、有識者らが、堆積(たいせき)した巨岩を利用し、樹木は伐採しないといった基本方針を策定。48年から2年間の工事で砂防施設が完成した。連合国軍最高司令官総司令部も景観への配慮を国に求めていたという。

 山本悟司・県砂防課長は「終戦後の大変な時代に色々と配慮して造られた施設を評価してもらい、ありがたい」と話す。今後も砂防機能の維持・管理を進めるという。

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この記事を書いた人
北村浩貴
岡山総局
専門・関心分野
地方行政、地方政治、文化財、民俗学、スポーツ