米、ワクチン共同調達・公平分配に参加へ WHOは歓迎
ロンドン=下司佳代子
米国のバイデン新政権で大統領の首席医療顧問に就いた国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長が21日、世界保健機関(WHO)の執行理事会で、新型コロナウイルスのワクチンを共同調達し、途上国にも公平に分配する国際的な枠組み「COVAX(コバックス)ファシリティー」に参加する、と表明した。
この枠組みはWHOなどが主導し、日本も参加している。先進国が自国分のワクチンを確保しようと先を競って製薬会社と契約するなか、途上国の医療従事者ら感染リスクが高く保護が必要な人たちにも早く確実にワクチンを届けることを目的とする。トランプ前政権はWHOを「中国寄りだ」などと批判し、脱退を表明。COVAXにも参加していなかった。
ファウチ氏はこの日、「パンデミック(世界的大流行)対応で、多国間で協力したい」と述べ、今後はCOVAXをはじめ、ワクチン開発や治療、診断にかかわる多国間の取り組みに参加すると語った。米国はWHO加盟国としてとどまり、資金負担なども続ける意向という。同氏は執行理事会にオンライン参加した。
WHOのテドロス事務局長は「米国の関与のおかげで、今年初めの100日以内に全ての国で、医療従事者や高リスクの人々へのワクチン接種を始めるという目標の達成に近づいた」と歓迎した。