有観客なら「コロナに勝った」こだわる政権、別の事情も

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小野太郎 前田大輔
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 東京の新型コロナウイルス感染状況の悪化が明確になるなか、8日にも開かれる政府、東京都、大会組織委員会、国際オリンピック委員会(IOC)などの代表者による5者協議に向け、東京オリンピック(五輪)の有観客をめざしてきた菅政権が揺れている。

 首相官邸の幹部は2日、「何とか観客を入れたい。選手にとっても、応援してくれる観客がいた方がいい」と語った。各地の会場で観客を入れれば、人の流れも増え、新型コロナウイルスの感染リスクも増える。それでも政権幹部らがこだわるのは、観客が「コロナに打ち勝った証し」の一つだからだ。

 政府や大会関係者の間では「緊急事態宣言下では無観客、(まん延防止等)重点措置下では政治判断」との解釈で大筋一致している。政権がいまの重点措置の期限を11日に設定した背景には、五輪に観客を入れられるかどうか、ギリギリまで感染状況を見極めたいとの思惑もあった。

 その期限が近づき、コロナ対応にあたる官僚は「いまの感染状況では、五輪の開会式まで重点措置は外せないだろう」との見方を示す。組織委は重点措置の解除が前提だった「上限1万人」を超えるチケット(91万枚)を減らすための再抽選を6日に予定していたが、延期する方向で検討に入った。政府関係者は「ここまで来たら、あとはトップの政治判断だ」と語る。

政権中枢から慎重な声も

 その菅義偉首相は1日、首相官邸で記者団に「(緊急事態宣言の際には)無観客もあり得ると私から明言している。国民の安全・安心を最優先にする中で対応していく」と述べた。「宣言時の無観客」には触れつつ、重点措置下の対応については言及を避けた。最近も周辺に「できる限り観客は入れたい」との考えを語っているという。

 ただ、ここに来て一部に「全…

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