「表現の不自由展」主催者に脅迫メール送った疑い 兵庫の男を逮捕
東京都内で6月から開催が予定されていた「表現の不自由展」をめぐり、主催者側に脅迫メールを送り付けたとして、警視庁は5日、兵庫県尼崎市の会社員の男(47)を脅迫容疑で逮捕し、発表した。メールを送ったことは認めているという。
展示会をめぐっては、主催者に抗議の電話やメールが殺到したほか、会場の周辺で中止を求める街宣行動が相次ぎ、会場を変更した末に中止になった。
公安部によると、男は6月19日~7月14日、新宿区などで開催予定だった展示の実行委員会関係者の女性に対し、計5回にわたって「髪を引きずり回される表情がみてみたいわ」「おまえらの中で、死人が出ても不思議ではない」「ドタマの毛引っ張りまわして海にでもたたき込んでやりたい連中」などと記したメールを携帯電話から送って脅した疑いがある。警視庁は、男が展示会の内容に不満を持ち、開催をやめさせようとしたとみている。
関連作品の展示をしていた名古屋市の施設では7月、届いた封筒が破裂する事件があり、施設は一時的に閉鎖された。展示を予定していた大阪市の施設にも7月、脅迫文や不審な液体が届いた。施設は抗議の電話や街宣活動の影響を受けて使用許可を取り消していたが、大阪高裁が使用を認める決定を出し、展示会は開かれた。
警視庁は名古屋、大阪の事件との関連も調べる。
表現の不自由展
昭和天皇を含む肖像群が燃える映像作品や慰安婦をモチーフにした少女像など、催事で撤去された作品を集めた展示会で、各地で開かれている。
2019年に愛知県であった国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」では、該当のコーナーが抗議や妨害で閉鎖に追い込まれた。この時の作品などを展示するため、21年に東京や大阪、名古屋を巡回する同様の企画が進められたが、抗議や妨害により延期や中止などを余儀なくされた。