欲しいのは「戦士」?女性研究者の壁 「リケジョ」がなくなる日は
女性の理系分野の学生や研究者は、まだまだ少数派だ。彼女たちが「リケジョ」と特別視されることなく能力を発揮できる日は、いつ来るのか。どう実現していけばよいのだろうか。
研究室の「ゆとりのなさ」、あらゆる研究者の壁に 「科学・政策と社会研究室」代表・榎木英介さん
20年以上前、私は生物科学系の博士課程に所属していました。研究室の教授は働きづめで、正月も1、2日しか休まない。教授は研究第一の生活を求め、深夜まで研究室に残るような学生を評価しました。
家が遠かった私は帰る時間が比較的早く、やる気がないとみなされていたと思います。実験の成果が出ずに悩み、次第に研究室へ足が向かなくなった。そして博士2年の時、教授から「もう来なくていい」と言われました。
研究者の世界には、私生活を犠牲にして研究せよ、という圧力が存在します。特に実験が必要な分野では、実験をすればするほど成果が出るし、しなければゼロ。労働集約的な研究環境では、育児などで研究に割ける時間が少なくなることは不利益になります。当時、研究室には女性もいましたが、結婚していないか、既婚でも子どもを持たない人でした。
さまざまな問題を生む研究室の「ゆとりのなさ」にはどんな背景があるのか、大学の上位職に男性が多い問題点は何か、榎木さんの論は続きます。記事後半では、「東北大学サイエンス・エンジェル」のメンバーとして理系進学の魅力を発信する小松真子さん、性差に着目した研究に取り組む研究所の設立に関わった佐々木成江さんが語ります。
研究室の「ゆとりのなさ」は…