FTXの破綻、暗号資産では最大 債権者は10万人超、日本でも事業

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稲垣千駿 サンフランシスコ=五十嵐大介
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 暗号資産(仮想通貨)交換業大手のFTXトレーディングが11日、同社や関連の計約130社が米連邦破産法11条(チャプター11、日本の民事再生法に相当)の適用を申請したと発表した。そのなかには日本法人のFTXジャパンも含まれ、顧客の資産の行方に関心が集まっている。金融庁は、同社が親会社のFTXトレーディング(以下FTX)とは別に顧客の資産を管理、保全しており、「日本の顧客の資産がなくなることは考えにくい」(幹部)とみている。

 FTXをめぐっては今月、同社の関連会社の資産内容を問題視する報道が出た後、資金を引き揚げる顧客が殺到して資金不足に陥った。同業他社に救済を求めたものの実現せず、破綻(はたん)に追い込まれた。今年に入って価格が急落した暗号資産業界で最大の破綻とされ、他の業者への影響の波及が懸念されている。

 サム・バンクマン・フリード最高経営責任者(CEO)は辞任した。FTXによると、後任のCEOには2001年の米エネルギー大手エンロンの破綻処理を手がけたジョン・レイ氏が就き、破綻手続きを進める。米メディアによると、FTXの資産と負債はそれぞれ100億~500億ドル(約1・4兆~約7兆円)で、債権者は10万人以上いるという。FTXが顧客の資産を流用して、関連会社に約100億ドルの融資をしたとも報じられている。

顧客の資産、会社と分別管理

 FTXは昨年、大リーグ大谷翔平選手と広告契約を結んだことでも知られる。日本でもFTXジャパンが事業展開しており、顧客の資産の行方に関心が集まっている。同社は9日に親会社の方針で、顧客から預かった日本円や暗号資産の出金を停止したが、関東財務局から10日に、1カ月間の一部業務停止命令と業務改善命令を受けた。顧客の資産の返還に関わる取引以外は認められておらず、11日に日本円については顧客が出金できるように再開したところだった。

 今回、米国で破産法適用の申請による日本法人への影響について、金融庁幹部は「実務上分かっていない点はある」としつつも、「日本の顧客の資産は会社と別に管理、保全されている。時間はかかるかもしれないが、(顧客が求めれば資産が)返還されることに変わりはない」との見方を示す。

 日本では資金決済法や金融商…

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この記事を書いた人
稲垣千駿
経済部|トヨタ自動車担当
専門・関心分野
自動車・証券業界、企業統治、金融政策