山形県鶴岡市で土砂崩れ、約10棟が被害か 高齢の夫婦と連絡とれず
31日午前0時55分ごろ、山形県鶴岡市西目で、住宅が崩れていると通行人から110番通報があった。県警や鶴岡市消防本部によると、集落の北東側にある斜面が幅100メートル以上、高さ20~30メートルの範囲で崩れ、住宅や空き家、プレハブなど約10棟が土砂に巻き込まれたとみられる。住家3戸が倒壊したとの情報がある。現場の住宅に住む70代女性と80代男性の夫婦と連絡がついていないという。
連絡が取れない2人とは別に、崩れた建物から70代の男性と60代の女性が救出された。2人とも意識はあり、軽傷という。警察と消防はほかに救助が必要な人はいないか、確認を続けている。
鶴岡市などによると、西目字斎藤の8世帯22人に避難指示が出て、近くの公民館には5世帯14人が避難したという。
山形県は同県東根市の陸上自衛隊第6師団長に災害派遣を要請し、受理された。自衛隊は現場に到着し、捜索活動を始めている。また、同県の吉村美栄子知事は鶴岡市に災害救助法の適用を決定した。
現場は、JR羽前水沢駅から西へ約1キロ。民家が県道沿いに連なる住宅地で、鶴岡市の災害ハザードマップで、崖崩れの危険性がある「土砂災害警戒区域」に指定されていた。ハザードマップは、崖から水がわき出たり、小石がぱらぱらと落ちてきたりしたら崖崩れの前兆の可能性があるとしている。近隣集落の男性(54)によると、現場集落の前町内会長から「最近、山から水が出ている」と聞いたという。
近くの集落に住む無職男性(79)は「夜中にサイレンが鳴り、何事かと思った。この辺は赤土で崩れやすい」と話した。
東北電力ネットワーク(仙台市)によると、現場付近の約900世帯が同日午前3時ごろから約1時間40分にわたって停電した。崖崩れが原因とみられる。
土砂崩れの現場から県道を挟み、北西に約100メートル離れた集落に住む女性(74)は31日、ふだん通り午前4時ごろに目覚めた。「起きた後にトイレに行ったけど、停電で明かりがつかなかった。暖房器具のスイッチを入れてもダメで、とても寒かった」