日本はどれくらい「大国」なのか ロシア世論の変遷をたどってみると
日本を「大国」とみなすロシア人が大幅に減っています。2000年代初めには、4割ほどが「大国」と認識していましたが、ロシアの独立系調査機関「レバダセンター」が9月中旬、SNSに投稿した世論調査では9%にまで落ち込んでいました。
調査は今年8月24日から30日までの間、18歳以上のロシア人1606人を対象に面接で実施され、9月12日付でアップされました。
「あなたが大国と呼ぶことができる国を三つ挙げてください」との問いに対し、最も多かったのは自国のロシアで、80%の回答がありました。2位が中国63%、3位は米国30%でした。以下、インドが14%、日本と英国は同じ9%で並び、ドイツ8%などとなっています。
日本はかつて上位にあったそうです。
同機関の02年世論調査によると、1位が米国の62%、2位が自国のロシアで43%。そして3位が日本の37%でした。次いで、ドイツ32%、英国27%、中国19%、フランス10%、インド5%など。その後、中国は国内総生産(GDP)で日本を抜いて世界第2位になるなど、経済的にも、そして軍事的にも台頭しているのは衆目の一致するところです。
いま、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、日本政府は主要7カ国(G7)で足並みをそろえ、対ロ制裁を実施しています。一方、ロシアも岸田文雄首相らを入国禁止にするなど、日ロ関係は冷え切っています。
振り返れば10年代、両国トップの安倍晋三首相とプーチン大統領は良好な関係を築きました。
14年のロシアによるウクライナ南部クリミア侵攻後、日米欧の制裁でロシアは孤立が深まっていましたが、16年には安倍内閣は独自の判断で制裁を緩和するなどしました。安倍首相と訪日したプーチン大統領は同年12月、首脳会談後の共同記者会見で、北方四島での「共同経済活動」の実現に向け協議を始めることで合意したと発表しました。ただ、北方領土の主権をめぐる双方の溝は最後まで埋まりませんでした。
翌17年に同機関が実施した世論調査によると、日本については48%が「良い関係にある」と答え、「否定的に評価する」30%を上回りました。
この背景として、同機関の専門家は次のように分析しました。「日本の制裁ははなはだ名目的なもので、我々は日本を平和を愛好する国と認識しています。日本食、生け花、アニメ、柔道、クロサワ(黒沢明監督の映画作品)が好きなのです」
■日本の有権者は?…
- 【視点】
かなりプーチンのレトリックに影響されているところがあるのではないか。 プーチンに言わせれば、世界で本物の「主権国家」など数えるほどしかなく、突き詰めて言えば、核を保有した国連安保理常任理事国くらいしか、主権国家として認めないといった主張にな
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