盾になって守ってもらった3年間 山本由伸が感じる、中嶋監督の温情
高橋健人
2022年10月22日、ヤクルトの本拠・神宮球場であった日本シリーズ(S)第1戦。
五回裏、オリックスの山本由伸が先頭打者に3球を投げた後だった。
自らベンチに向けて合図した。
左脇腹がつるような感覚に襲われていたのだ。
「これで投げるのは、よくないな」
マウンドに駆け寄ったトレーナーに「1回下がろう」と言われ、戻ったベンチで中嶋聡監督に声を掛けられた。
「そんな、無理しなくていい」
五回途中まで被安打4、4失点での降板。不本意な内容に終わった。
チームも3―5で敗れた。
エースとして先勝に導けず、「悔しさはすごいありました」。
その後は、次の登板に向けて準備した。
ただ、心の中には葛藤があったと振り返る。
本調子からは、ほど遠い自覚…