職も、家も失った 冤罪で有罪判決の郵便局長、いま富士通に望むこと

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ロンドン=藤原学思
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 英国史上最大規模の冤罪(えんざい)といわれ、テレビドラマ化によって再び大きな注目を集めている「郵便局事件」で有罪判決を受けた女性が10日、朝日新聞のオンライン取材に応じた。判決は後に覆され、一定額の補償も受けたが、「失われた時間は戻ってこない」と嘆く。

 ポーリン・ストーンハウスさん(51)は10日、郵便局事件に関する政府の新たな方針を自宅で知った。

 「法律を作り、事件の結果として有罪判決を受けた人びとが速やかに無罪とされ、補償されることを確実にする」。スナク首相がそう発表した。

 「確かに良いことだと思います」とストーンハウスさんは言う。「でも、少し遅すぎました。ずっと前から問題があるとわかっていた。何年も前に、対処できたはずです」

 ロンドン市内の郵便局で働き始めたのは、1990年代半ばのこと。2004年になり、英北東部に位置する海沿いの町サンダーランドに、小さな郵便局をオープンさせた。

 英国の郵便局は、ほとんどが個人経営。ストーンハウスさんの郵便局では預貯金や郵送業務を手がけるだけでなく、新聞やたばこの販売もしていた。地元のコミュニティーに根付き、常連客がやってきては10分ほど近況を話す。そんな場所だった。

 だが、局内に導入されていた富士通の会計システム「ホライゾン」に、度々問題が生じた。

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この記事を書いた人
藤原学思
ロンドン支局長
専門・関心分野
ウクライナ情勢、英国政治、偽情報、陰謀論