繰り返される「ホテルに行く女性が悪い」 識者が問うメディアの責任
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志さん(60)から性的な行為を強要されたとする女性たちの証言を報じた週刊文春の記事を巡り、松本さんが1月、文春側を名誉毀損(きそん)で提訴し、28日には東京地裁で第1回口頭弁論が開かれました。今後の訴訟の行方に、大きな注目が集まっています。
一方で、性犯罪の規定に詳しい琉球大学の矢野恵美教授は、今回の報道をきっかけに、40年前から社会で後を絶たない「被害者の落ち度論」という思考が、ネット空間で拡大再生産される現状に危機感を抱いています。そこには既存メディアの責任も大きい、とも。話を聞きました。
――週刊文春の報道を機に主にSNS上で、被害を告発する女性を非難する投稿が相次ぎました
「今回の松本人志さんの件は、詳細は裁判で明らかになるのを待つ必要があります。しかしそれ以前に、被害を訴える方々へのバッシングの中には、従来、犯罪学・被害者学で問題視されてきた内容があるように思います」
――バッシングの中には、「ホテルに行ったなら性的な行為に同意している」という内容が多くありました
「その主張は間違いだと言わざるを得ません。性的同意の理解を根本的に誤っています。大前提として性的同意は、まさに行為の際になければならないものです。ホテルや家に行くこと自体は、その後に性的な行為をすることへの同意にはなりません」
――「同意」にならなくとも、「ホテルに行った女性が悪い」という旨の投稿も多くありました
「『被害者の落ち度論』とい…