「廃炉の本丸」初日から手順誤り作業中断 容器内へ装置を挿入できず

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福地慶太郎 矢田文
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 東京電力は22日、福島第一原発2号機の溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の試験的な取り出しを予定していたが着手できなかった。朝、準備作業を始めたが手順ミスがわかり、この日の作業を中断した。廃炉作業で最も難しいといわれる燃料デブリの取り出しは初日からつまずいた。

 福島第一原発は東日本大震災で被災し、原子炉の冷却設備が使えなくなった。運転中だった1~3号機では核燃料が溶け落ちる「メルトダウン」(炉心溶融)が起きた。

 3基には推計880トンもの燃料デブリがあるが、いまも手つかずのままだ。硬さや詳しい組成はわかっていないため少量を取り出して、分析するとしている。

 今回取り出しを試みるのは、2号機の原子炉格納容器の底部にある燃料デブリだ。約2週間かけて試験的に3グラム以下の燃料デブリを取り出す計画だった。

デブリのある底に到達するまで1週間ほど

 現場の放射線量は毎時数十シーベルトで、数分もいればほとんどの人が死亡するほど高い。このため、燃料デブリの取り出しは遠隔操作でやるしかなく、「廃炉の本丸」(東電)とも言われる最難関の作業だ。

 当初は2021年に、試験的…

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この記事を書いた人
矢田文
科学みらい部|原子力・災害担当
専門・関心分野
いきもの、環境問題、沖縄、依存症
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    小松理虔
    (地域活動家)
    2024年8月22日22時51分 投稿
    【視点】

    廃炉の根幹に関わる大きな進展なのだとは思います。直接デブリに触れて取り出すわけですから、新たな局面であり、ほんの数グラムだとしても、廃炉が進んだ未来から見れば大きな一歩になるのかもしれない。地元の私たちだけでなく、福島第一原発の電気を使って

    …続きを読む