第5回世界で繰り広げられる「影響工作」 専門家「日本でも展開」と警鐘

有料記事

編集委員・須藤龍也
[PR]

A-stories「偽情報を追う ネットに漂うフェイクニュース

 プレスリリース配信サービスの運営会社を経由して配信された、沖縄に関する12本の不可解な記事の存在が、朝日新聞の取材で明らかになった。実は同様の事案が、世界中で起きていることを示唆する調査リポートが今年2月、発表されていた。

 「中国国内から運営されている少なくとも123のウェブサイトは、大量の商業的なプレスリリースの中にまじって、親中派による偽情報や人格攻撃を広めている」

 調査を行ったのはカナダ・トロント大学にある研究機関「シチズン・ラボ」。リポートによれば、欧米やアジア、南米の約30カ国にむけたウェブサイトが作られていたという。現地のニュースメディアを装った情報操作キャンペーンであるとして、「PAPERWALL」と名付けた。123サイトを対象国で見ると、韓国(17サイト)に次いで日本(15)、ロシア(15)、英国(11)と続く。

 サイトに掲載された記事の大半はプレスリリースだが、中国国営メディアの記事の引用や、「匿名の偽情報コンテンツ」が混在していたという。

 リポートが「偽情報」と指摘…

この記事は有料記事です。残り1962文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

  • commentatorHeader
    辻田真佐憲
    (評論家・近現代史研究者)
    2024年9月29日13時50分 投稿
    【視点】

    「影響工作」に関して、記事で示されているような懸念があるのも事実です。しかし、その一方で「本当にどれだけ効果があるのか」という視点を持つこともまた重要でしょう。言い換えれば、「影響工作が効果的である」という主張自体が、一種の影響工作である可

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    鳥海不二夫
    (東京大学大学院教授=計算社会科学)
    2024年9月30日13時0分 投稿
    【解説】

    SNSなどのプラットフォームが影響工作の格好のターゲットとなることは、以前から指摘されています。2016年のアメリカ大統領選挙におけるケンブリッジ・アナリティカ事件は、その典型的な例であり、ロシアの影響が指摘されています。しかし、その影響力

    …続きを読む