TV局の大谷フィーバーはなぜ「視聴率が…」 フジ取材パス没収問題

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宮田裕介 照井琢見
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 大リーグの強豪・ドジャースに移籍し、メジャー初の同一シーズン「50本塁打、50盗塁」、ワールドシリーズ(WS)制覇を果たした大谷翔平選手。そんな人気を見込んだフジテレビに対し、NPB(日本野球機構)は11日、日本シリーズの開催時間帯に大リーグのWSの録画放送を中継したとして、日シリの取材パスなどを没収していたことを認めた。

 そもそも、この1年はテレビ各局の過熱した報道も目立ち、なかでも一部の報道番組や情報番組では、大谷選手のプライベートなどをつぶさに報じ、批判の声も上がっていた。なぜ、テレビ各局は大谷選手の扱いが過熱しがちなのか――。

 「番組制作者もヒトの子。毎日、事件・事故を扱ってたら心が削られてしまう。でも、大谷選手のニュースは誰も傷つけないし、ポジティブな気持ちにさせてもらえる」。あるキー局関係者は、背景をこう話す。

 大谷選手の結婚では、特に報道が過熱した。2月29日、大谷選手がインスタグラムで結婚を発表すると、テレビ各局は夕方のニュース番組などで次々と報じた。

 NHKも、自民党派閥による裏金事件を受け、衆議院政治倫理審査会を中継している最中に速報。現職首相として史上初めて岸田文雄首相(当時)が政倫審に出席した日だったが、その日の報道番組「ニュースウオッチ9」では、大谷選手の結婚をトップニュースで扱った。

 春には、「新居報道」問題が起きた。フジは情報番組の「めざまし8」や「イット!」、日テレは報道番組「news every.」で、大谷選手の米国の新居について撮影したり、近隣住人へ取材したりして、ネット上などで批判を浴びた。

 その後、フジの港浩一社長と日テレの石沢顕社長は、それぞれの定例会見で謝罪。所属するドジャースが両局に対して、取材パスを凍結したとする一部週刊誌の報道もあったが、「取材できなくなったという事実はない」(フジ・港社長)、「取材への支障は出ていない」(日テレ・石沢社長)と釈明した。

フジの日シリの放映権、NPBが剝奪する案も浮上

 なぜ、これほどまでに大谷選手を大量に扱うのか。

 キー局で情報番組の制作に携…

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この記事を書いた人
宮田裕介
文化部|メディア担当
専門・関心分野
メディア、放送行政、NHK