市職員が元部下らから借金5850万円 私的な貸し借り?防止策は?

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戸村登 臼井昭仁
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 愛知県豊橋市役所の課長級の男性職員が元部下ら50人余りから計約5850万円を借りた後、亡くなった。大半は返済されないまま。カネを貸した元部下らは「上司の頼みで断れなかった」と話す。一部議員がこの問題を議会で取り上げ、12月議会でも調査を求める構えだが、市側は「個人間の貸し借り」という姿勢だ。ここまで借金が膨らむ前に止める手立てはなかったのか。

元部下「上司から言われたら断れない」

 借金をしていた課長級職員は60歳前で、2021年11月に亡くなった。元部下で計1275万円を貸した50代後半の男性職員が経緯を明かした。

 最初に携帯電話で借金を申し込まれたのは20年9月。要求額は13万円。手渡すと数日後、今度はショートメールで13万円を要求。「今回を最後としてお助けいただけないでしょうか」とも書いてあった。

 課長級職員に「心酔していた」という元部下。ともに仕事をした2年間、怒られたことはなく、接し方に配慮があった。「お世話になった人だから」という思いが強く、その後も借金の求めに応じ続けた。名目は「知人のために示談金がいる」「職場でトラブルを起こした」……。真偽は分からない。貸すたびに渡される借用書の総額は増えていった。1年後、課長級職員が亡くなるまで続いた。

 部下だった別の職員は、車を買うためにためていた135万円を貸した。毎週のように「頼むで」と頭を下げられた。男性は「上司からそう言われたら断れない。後が怖いよ」。

 課長級職員と同じ部署だったある職員は最初、50万円を求められた。断ったものの、携帯を何度も鳴らされ、しぶしぶ30万円を貸した。

市「公務に関連していると認められない」

 課長級職員の死からすぐにカ…

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この記事を書いた人
臼井昭仁
半田支局長
専門・関心分野
農林水産業、運輸、過疎問題