体育館の窓落下で考えた「子どもの権利とは?」 疑問が行政を動かす
「体育館に入らないで!」
2022年7月、ミーティングをしていたバスケットボール部員のもとに、教員が駆け込んできた。
名古屋市立高校2年だった渡辺萌愛(もあ)さん(19)たちが様子を見に行くと、高さ8メートルの位置にある窓が割れ落ち、コートの半面近くまでガラスが飛び散っていた。
幸いけが人はいなかったが、もし練習中の事故だったらと思うと、血の気が引いた。
後に教員から、熱膨張が原因だと聞いた。
この学校は築約60年。2カ月前には校舎4階の外壁がはがれ落ち、人に当たる事故が起きていたのに、教職員も生徒も「老朽化は仕方ない」という雰囲気。
渡辺さんは危険を訴えたが、「誰かがけがをしないと変わらないんだよね」という声すら聞こえてきた。
「命を守るために何かしなくては」と思った渡辺さんは、市や教育委員会に連絡し、学校の工事記録や、改修工事を実現するための手続きを調べ始めた。
翌年1月に、両親から教えてもらったのが「名古屋市子どもの権利相談室なごもっか」だった。
子どもの権利を守るために独自の条例をもとに設置される第三者機関は、全国で約50の自治体にあるとされます。朝日新聞がアンケートしたところ、第三者機関への相談件数の多さに加え、与えられた権限を上手に活用して子どもたちのために活動している様子が見えてきました。
緊張する高校生、相談員は「一緒に解決しよう」
なごもっかは、子どもの人権…
- 【解説】
2022年5月、名古屋市立の高校で、校舎4階のコンクリート製の外壁の一部がはがれ落ちて、同校を訪れていた他校の教員の肩に当たりました。コンクリートの劣化によるもので、教員にケガはありませんでした(東海テレビ、2022年5月30日付)。コンク
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