お布施を受け取っていた住職は「なりすまし」? 寺が賠償求めて提訴

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大滝哲彰
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 ある寺の住職を名乗る男性(53)が10年以上にわたって法要を営み、お布施を受け取ってきた。しかし、その住職は「なりすまし」だった――。寺は「お布施を独占しようとした」として、賠償を求めて提訴した。

 「数年前から、お宅の住職に月命日の法要をしてもらったり、法名を付けてもらったりしていますよ」

 昨年11月、浄土真宗本願寺派「西方寺(さいほうじ)」(大阪府東大阪市)の責任役員で僧侶の井尻雄二郎さん(62)は、門徒からそんな話を聞いた。

 戦時中に建立された寺の初代住職は1983年に亡くなり、後を継いだ住職代務も2022年11月に亡くなっている。「その方は住職じゃないです」と伝えると、その門徒は困惑した様子だったという。

「住職じゃないですよね」と追及すると

 数日後。同じ門徒から「その人が通夜の読経をするから、自宅に来て確認してほしい」と言われ、赴いた。すると、法衣姿の男性が原付きバイクに乗って現れ、「西方寺の住職」として読経しようとしていたという。

 「あなた、住職じゃないですよね」

 問い詰める井尻さんに対して…

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    塚田穂高
    (文教大学国際学部教授・宗教社会学者)
    2024年11月30日21時35分 投稿
    【視点】

    何とも奇妙な事件です。そもそも10年以上にわたりなぜここでいう「なりすまし」に同寺関係者が気づかなかったのか、その間、月命日の法要や法名をつけることを同寺関係者が全くやっていなかったのか、など気になることが多々あります。門徒の方々は、どんな

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