息子をはねた後、車の男はコンビニへ 両親が問う「1分1秒の重み」

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菅沼遼
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 15歳の男子中学生が塾からの帰宅途中、車にはねられた。自宅近くの横断歩道を渡っているときだった。事故直後、運転していた男はいったん周囲を捜した後、近くのコンビニエンスストアへ向かった。飲酒運転の発覚を免れようと、口臭防止用品を買い、服用した。男が現場を離れていたのは2、3分の間――。

 男のこの行動が「ひき逃げ」に当たるかどうか、法廷で争われている。13日、最高裁で弁論が開かれる。逆転無罪とした二審・東京高裁判決が見直される可能性がある。

中学を卒業したばかり、事故は自宅目前で

 事故は2015年3月23日午後10時7分ごろ、長野県佐久市で起きた。中学3年の和田樹生(みきお)さん(当時15)が、自宅の目の前の横断歩道ではねられた。

 母の真理さん(52)は自宅で、その音を聞いた。はじめは車同士が衝突したのだと思った。息子の帰りが遅いのも気になり、夫の善光さん(54)に「様子を見てきて」と頼んだ。目の前の市道に出た善光さんはそこで、事故に遭ったのが息子だったと知った。

 樹生さんは約1時間後、搬送先の病院で亡くなった。4日前に中学の卒業式を終えたばかりだった。

 志望していた高校への入学を翌月に控え、塾で予習していた。ロックバンド「バンプ・オブ・チキン」が好きだった。入学を機にベースを買い替え、高校でバンドをやるのを楽しみにしていた。

執行猶予付き判決に「納得できない」

 事故から2カ月半後、車を運…

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