幾重の試練くぐり抜け、奥能登の麦焼酎メーカー瓶詰め 能登地震1年

有料記事with NOTO 能登の記者ノート

小崎瑶太
[PR]

 石川県珠洲市野々江町の麦焼酎専門メーカー「日本醗酵(はっこう)化成」が11月末、能登半島地震後初めての瓶詰め作業にこぎ着けた。

 受注を再開するや、注文が殺到。1カ月で約1万5千本を出荷した。

 廃業も考えたという社長の藤野浩史さん(46)は「今年中に詰めるところまでいけて本当によかった」と話す。

 同社にとっての震災は2024年元日の1度ではない。

 22年6月、珠洲市が震度6弱の地震に見舞われ、敷地に亀裂が走った。23年5月にも6強の揺れがあり、熟成用のたるから焼酎が流出し、蒸留器も壊れた。私(25)が藤野さんに出会ったのは、その年の11月だった。

 製造ができない中、タンクに残った焼酎「虎の涙 18年熟成」を販売。プロ野球・阪神タイガースの18年ぶりセ・リーグ優勝にも励まされ、藤野さんは「来年は酒造りを再開したい」と笑顔をみせていた。

 奥能登で最大震度7を観測したのはその2カ月後だった。

 100本超の貯蔵タンクが傾き、麦を蒸す機械も倒れた。量れないほどの焼酎がたるから流れ出た。藤野さんは子どもを金沢の親族の元に避難させ、日々の暮らしで精いっぱい。「今度こそ廃業するしかない」と考えた。

 残った焼酎を少しでも販売す…

この記事は有料記事です。残り462文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【初トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

この記事を書いた人
小崎瑶太
金沢総局|県警担当
専門・関心分野
災害、事件、表現の自由
能登半島地震

能登半島地震

2024年1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る]