名将クロップが来日で注目も RB大宮が掲げる「襲いかかる」の真意
世界的な名将が、サッカーJ2のRB大宮アルディージャにやってきた。
新たに経営母体となったレッドブルのグローバルサッカー部門の責任者、ユルゲン・クロップ氏が開幕に合わせて来日し、15日にNACK5スタジアム大宮であったJ2の開幕戦を観戦した。翌日、さいたま市西区のクラブハウスや志木市にある育成組織の練習場も視察したという。
「当たり前のことかもしれないが、クロップが話すだけでみんなすごく集中して聞いていた」とDF浜田水輝は冗談交じりに振り返る。
かつて、イングランド・プレミアリーグのリバプールや、ドイツ1部ドルトムントなどを率いた名監督は、全選手の前で話をした。長沢徹監督をはじめ、スタッフ陣とは1時間ほど話し合う機会が設けられ、ドイツ時代の話など、質問攻めにあった。
クロップ氏はそれぞれのサッカー人生を大切にしてほしいと投げかけた。「最も大事なことは、全てが終わったときに自分たちがやってきたことを誇れることだ」と言葉もかけたという。
親会社が代わり、迎える新たなシーズン。クロップ氏の来日をはじめ、生まれ変わった「RB大宮」に注目が集まる一方、長沢監督は開幕前からこんな話もしている。
「歴史はごまかしがきかないから、というのは選手とも共有しています」
J3から昇格した今季の開幕前、サポーターの前で「全てのゲームで襲いかかります」と宣言した。その真意は、「今年はチャレンジをしなければいけない立場」だということ。
「(レッドブルからの)大きなサポートも入って、昇格して、と見られるけど、立ち位置は(J2では)19位からのスタート。下から向かっていく、襲いかかっていく。そこは間違えてはいけない」
昨季はJ3で「一つも落とせない戦いだった」。38試合で勝ち点85を積み上げ、ほぼ独走状態だったが、今季は相手のレベルもあがる。
開幕戦でモンテディオ山形と戦った浜田は「細かいけど、見て判断したり、次のプレーに変えたり、その一瞬のスピードが速い」と感じた。ただ、それも想定の範囲内。「チームとして、もう1個レベルをあげていかないといけない」と語る。
開幕戦には1万3千人が詰めかけた。注目度は高い中で、いかに自分たちらしく戦えるか。長いシーズンが幕を開けた。