ゲーム×教育
「ぷよぷよ」を学校で(1) 「プログラミングって楽しいね!」 プロ選手がぐんま国際アカデミーで出張授業
2022.08.23

プログラミング教育は小学校で必修化され、中学校でも技術・家庭科の技術分野で扱われています。教育現場での比重が高まる中、大手ゲーム会社セガのパズルゲーム「ぷよぷよ」をベースにした「ぷよぷよプログラミング」は、子どもたちに親しみやすいゲームを入り口にしているとあって、学校での導入が相次いでいます。実践例などを4回に分けてお伝えします。(写真は、ぴぽにあ選手のアドバイスを受けながら入力する生徒たち=群馬県太田市/この記事は、朝日新聞「GAMEクロス」に2021年11月29日にアップされた記事を加筆修正し、再掲しています)
パズルゲーム「ぷよぷよ」をベースにした「ぷよぷよプログラミング」を教材に使った出張授業が2021年11月、群馬県太田市のぐんま国際アカデミーで開かれました。ぷよぷよeスポーツのプロ・ぴぽにあ選手が講師を務め、中学1年生にあたる中等部約80人が参加。「ものづくり」というプログラミングの本質を学ぶ機会となりました。
ソースコードの正確な入力に挑戦

「ぷよぷよプログラミング」は「ぷよぷよ」を展開するセガが開発した学習教材です。英数字の列であるソースコードを正確に入力していくことで、「ぷよ」が実際に動き、「ぷよぷよ」が完成する過程を体験できる教材です。基礎、初級、中級、上級と入力量に応じてレベルが分かれており、気軽にHTMLやJavaScriptでプログラミングを学べることが特徴です。親しみやすい「ゲーム」を使って学びに生かす試みとして、教育現場での活用が始まっています。
ぐんま国際アカデミーは小学校・中学校・高校の12年間を一貫教育で行っている私立校です。「英語イマージョン教育」として、全体の約7割を英語で授業展開しています。この日授業を受けた中等部7年生の生徒たちは、全員が一人1台のノートパソコンを持っています。ただ、授業でプログラミングを扱うのはこの先の予定で、多くの生徒にとっては初めてソースコードに触れる機会となりました。
講師を務めたぴぽにあ選手はシステムエンジニアの経験があります。さらに、21年10月に開かれたプロ大会「チャンピオンシップ SEASON4 STAGE2」で優勝。現役トッププロであるぴぽにあ選手が授業の冒頭で11連鎖を軽々と披露すると、拍手がわき起こりました。
カラーコードをもとにオリジナルの色を表現

授業では、まず「『ぷよ』が落ちてくる」「『ぷよ』を左右に動かす」といった簡単な課題からスタートします。一部のソースコードが未入力になっており、指示を与えるソースコードを穴埋めする形で入力していきます。普段からキーボードを触っている生徒たちとはいえ、すべて正しく入力するのは一苦労です。ただ、「間違える」プロセスを経験することもプログラミングを学ぶうえでは、大切なポイントです。
さらに、「背景の色を変える」といった「改編」にもチャレンジしました。生徒たちにはカラーコード表を配布。色の仕組みを考えながら、オリジナルの色を作成していました。
また、「連鎖ボイス」を改編できるのも「ぷよぷよプログラミング」のポイントです。まずは生徒たちの声を録音し、ゲームに組み込みます。連鎖が発生すると、「イチ、ニイ」というオリジナルの音声が教室に響きました。
これもセガが関わる教材だからこそできる内容です。生徒たちは集中して画面に向かい、さらに隣同士で教え合う姿も見られました。「プロeスポーツ選手」についても興味津々で、授業の終盤にはぴぽにあ選手に対する質問タイムも。授業後は多くの生徒がサインを求めていました。