吹奏楽の小編成バンドにおすすめの曲 作曲家3人が選ぶ16曲 福田洋介さん、石毛里佳さん、松下倫士さん
吹奏楽コンクールのB部門などで演奏される小編成の楽曲。吹奏楽の小編成バンドにおすすめの楽曲を、吹奏楽コンクールの課題曲や自由曲として多くの団体に演奏される楽曲で知られる3人の作曲家に選んでもらいました。
楽曲を紹介してもらったのは、「さくらのうた」などで知られる福田洋介さん、「風伯の乱舞」などを作曲した石毛里佳さん、「繚乱~能『桜川』の物語によるラプソディ」などを作曲した松下倫士さん。演奏のポイントを知りたい方は、各作曲家の方々のアドバイスを掲載した記事をチェックしてみてください。
「さくらのうた」作曲者・福田洋介さんが小編成バンドにおすすめする曲6選
タイトル | 作曲 | 発表年 | 出版社 | 演奏時間 |
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一閃の舞 | 福田洋介 | 2018年 | ブレーンミュージック | 約8分 |
ほたるのひかり | 福田洋介 | 2015年 | フォスターミュージック | 約8分 |
吹奏楽のための神話 | 大栗裕 | 1973年 | 現行譜はティーダ出版 | 約13分 |
吹奏楽のための小狂詩曲 | 大栗裕 | 1966年 | 現行譜はティーダ出版 | 約7分 |
魔女の宅急便コレクション | 作曲・久石譲 編曲・福田洋介 |
2019年 | ウインズスコア | 約8分 |
吹奏楽のための民話 | J.A. コーディル | 1959年 | 現行譜はハル・レナード | 約5分 |
「さくらのうた」「吹奏楽のための『風之舞』」などの多くの吹奏楽の作品で知られる作曲家・福田洋介さんは、ご自身の作品の中から吹奏楽コンクールの自由曲にぴったりの長さだという「一閃の舞」、作曲にあたって現役高校生のアイデアを取り入れたという「ほたるのひかり」の2曲をおすすめしてくれました。
また、15人ほどでも演奏可能という大栗裕さん作曲の「吹奏楽のための神話」と「吹奏楽のための小狂詩曲」、キャッチーなフレーズで練習も楽しい久石譲さん作曲の「魔女の宅急便コレクション」、中学生でもとっつきやすいレジェンド曲だという「吹奏楽のための民話」(J.A.コーディル作曲)を選んでくれました。
福田洋介(ふくだ・ようすけ)さん
1975年東京都杉並区生まれ。現在まで作曲・編曲は独学。吹奏楽・管弦楽・室内楽の作曲や編曲、および指導・指揮に力を注ぐ。シエナ・ウインド・オーケストラ、SEKAI NO OWARIなどの作編曲担当としても活動。朝日作曲賞を受賞した「吹奏楽のための風之舞」「さくらのうた」は全日本吹奏楽コンクール課題曲に選ばれ、現在まで多くの楽団に演奏されている。
「風伯の乱舞」作曲者・石毛里佳さんが小編成バンドにおすすめする曲5選
タイトル | 作曲 | 発表年 | 出版社 | 演奏時間 |
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セルリアン・ウィンド | 郷間幹男 | 2019年 | ウィンズスコア | 6分50秒 |
開闢の譜 | 鈴木英史 | 2012年 | CAFUAレコード | 約8分 |
レジェンド | ジェイムズ・バーンズ | 1992年 | サザン・ミュージック | 9分45秒 |
「カルメン」組曲 | ジョルジュ・ビゼー(編曲例:高橋徹) | 2001年(高橋徹編曲) | デ・ハスケ・パブリッシング(高橋徹編曲版) | |
Mystic Palette | 石毛里佳 | 2024年 | ウインズスコア | 4分10秒 |
「風伯の乱舞」といった吹奏楽曲や「碧い月の神話」などのアンサンブル曲を多数作ってきた作曲家・石毛里佳さんは、ピアノも入って演奏効果バツグンという郷間幹男さん作曲の「セルリアン・ウィンド」、譜面に沿った演奏をするだけでよい響きになるという鈴木英史さん作曲の「開闢の譜」を邦人作品から選曲。
サックスチームが活躍するという「レジェンド」(ジェイムズ・バーンズ作曲)、 管楽器が活躍するオーケストラのアレンジ曲である「カルメン」組曲(ジョルジュ・ビゼー作曲)と海外から2曲を選んでくれました。
またご自身の作品からは、いろんな組み合わせが可能なフレキシブル譜で作ったという「Mystic Palette」をおすすめしてくれました。
石毛里佳(いしげ・りか)さん
東京藝術大学音楽学部作曲科卒業。これまでに作曲を尾高惇忠、宮本良樹、佐藤博の各氏に師事。「風伯の乱舞」といった吹奏楽曲や、「碧い月の神話」などのアンサンブル曲が多数出版・録音されている。「Muta in concerto」(Solo Sax & Wind.orch.)が、2007年度下谷奨励賞受賞。『うたって覚えよう!シリーズ』など、子ども向け作編曲のほか、「FINAL FANTASY ORCHESTRAL ALBUM」 「BRA★BRA FINAL FANTASY/BRASS de BRAVO」などのアレンジにも参加。
「繚乱」作曲者・松下倫士さんが小編成バンドにおすすめする曲5選
タイトル | 作曲 | 発表年 | 出版社 | 演奏時間 |
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吹奏楽のための「ランドスケープ」 | 松下倫士 | 2016年 | フォスターミュージック | 約6分 |
ある女の生涯〜能「巴」の物語によるファンタジー | 松下倫士 | 2023年 | ブレーンミュージック | 6分50秒 |
組曲「虫」 | ロジャー・シシー | 2000年 | C・アラン・パブリケーションズ | 約16分 |
「秘儀IV〈行進〉」 | 西村朗 | 2017年 | 東京ハッスルコピー | 6分42秒 |
マ・メール・ロワ | モーリス・ラヴェル | 管弦楽組曲版は1911年、森田一浩編曲は2002年 | ブレーンミュージック | 約16分 |
「繚乱~能『桜川』の物語によるラプソディ」など多くの作品で知られる作曲家・松下倫士さんは、ご自身の作品から、シンプルなハーモニーでトレーニングにもぴったりという「吹奏楽のための『ランドスケープ』」、まるでオペラのようなドラマティックさが特徴の「ある女の生涯〜能『巴』の物語によるファンタジー」の2曲ををおすすめしてくれました。
また、楽団の強みを生かしやすいという「組曲『虫』」(ロジャー・シシー作曲)、打楽器がすべてを握るという西村朗さん作曲の「秘儀IV〈行進〉」、吹奏楽でも演奏のイメージがしやすいという「マ・メール・ロワ」(モーリス・ラヴェル作曲、編曲例:森田一浩)を選んでくれました。
松下倫士(まつした・ともひと)さん
東京藝術大学音楽学部作曲科を経て、2009年同大学院修士課程作曲専攻修了。卒業時に藝大同声会賞受賞。2014年東京音楽大学大学院修士課程伴奏科修了。管弦楽曲である「交響的変容<トロンプルイユ>」が日本交響楽振興財団第29回作曲賞受賞(5年ぶり8人目の受賞)。「繚乱」「ラメント」などの吹奏楽作品や「巡礼歌」「土蜘蛛伝説」といったアンサンブル作品が全国各地で演奏されている。ピアニストとしても活躍し、ソロだけではなく、数多くの演奏家と共演している。