6大学合同説明会が初めて開催 一度に比較できて「志望校が絞り込めた」と受験生の声

2025/02/09

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大学側が受験生に向けて開催する学校説明会は、オープンキャンパスの場で行われたり、予備校主催で行われたりと、さまざまな形態があります。いくつかの大学が集まって行う「合同説明会」もあります。中央大学で実施された「6大学合同入試ガイダンス&在学生トークイベント」の様子を取材しました。(写真=会場入り口に掲示されたイベントのスケジュール、中央大学提供)

受験生や保護者、高校教員の参加も

私立大学の一般選抜の出願は、1月上旬から始まります。出願を前にした2024年11月29日、中央大学茗荷谷キャンパスで「6大学合同入試ガイダンス&在学生トークイベント」が開催されました。参加したのは、上智大学、中央大学、法政大学、明治大学、立教大学、早稲田大学の6大学です。対面とオンラインの両方で行われ、合わせて900人以上が耳を傾けました。

この6大学が合同で入試ガイダンスを行うのは、初めてです。「受験生に各大学の入試制度を正確に理解してもらい、自身に合った入試で挑んでほしい」という各大学の入試担当者の思いが合致して、共催が実現しました。受験を間近に控えた高校3年生のほか、高校1、2年生、保護者、高校教員などが参加し、関心の高さがうかがえました。

「入試ガイダンス」は、6大学が2カ所に分かれ、一般選抜を中心に、説明を行いました。各大学の担当者は、資料を使って、複雑化する入試方法について、詳細に伝えました。

大学ごとに20分間の説明会が行われた。一般選抜を中心に受験に際して注意すべきことや、大事なチェックポイントなどが大学担当者から伝えられた

在学生が本音で受験生にアドバイス

「在学生トークイベント」は、中央大学入学企画課の職員が司会を務め6大学から1人ずつ発言しました。事前に保護者や受験生から聞きたいことをアンケートで募り、各大学の代表者1人が司会者の問いかけに答える形で進行しました。

現役の大学生の体験談を聞けるのは、受験生にとって貴重な機会

以下、6つの大学の女子学生が参加した回でのやりとりを一部、紹介します。


――志望校を決めた時期と、その理由は何ですか。

上智大学3年Sさん フランス文化やフランス語に関心があり、語学教育に長けている上智大学を選びました。夏のオープンキャンパスに参加して、志望を決めました。

早稲田大学2年Mさん 高校1年の時から志望校を早稲田大学に決めていました。多様性を重視し、様々な学部があって、いろいろな学び方をできることが魅力でした。

立教大学2年Kさん 実際に訪れた大学のキャンパスがとてもきれいで、ここで学びたいと惹かれて、進学を決めました。キャンパス内はもちろん、大学周辺の環境も気に入りました。

――何校受けましたか。また併願先も教えてください。

 中央大学3年Tさん 国立大学を併願しました。まずは大学入学共通テストを頑張るぞと思いました。私立大学の入試から国立大学の入試までは時間が空いているので、中だるみを防ぐのに苦労しました。

早稲田大学2年Mさん 早稲田の総合型選抜を受けましたが、結果は不合格でした。一般選抜でリベンジしようと思い、6学部を受けました。総合型選抜の準備をしつつ、一般選抜の勉強を進めるのは、とてもハードでした。

明治大学1年Aさん 関西地区の大学も合格しており、明治大学とどちらに行くか迷いましたが、留学制度が整っていることや、サークルの種類が多いことなど、選択肢が豊富なことから明治大学に進学しました。

在学生トークイベントでマイクを手に話す上智大学(左上)、明治大学(左下)、早稲田大学(右)の学生たち

――入試直前には、どのような勉強をしましたか。

上智大学3年Sさん 高3のときの勉強時間は平日が5~6時間、休日は9時間。入試の3カ月前にはSNSをシャットアウトしました。苦手な歴史は、アイドルの写真を壁に貼り、学習した内容について、写真に講義を行うつもりで話しかけました。

立教大学2年Kさん 勉強時間は平日は5~6時間、休日は8~10時間。夜更かしや徹夜は避けて、睡眠もしっかり取ったことで、受験期を健康に乗り切ることができました。

 明治大学1年Aさん 受験直前は、本番と同様の環境で問題を解くことを心がけました。参考書や問題集があると、つい解法を見てしまうので、手元におかないようにしました。

――親の関わりでありがたかったこと、逆にあまりうれしくなかったことを教えてください。

 中央大学3年Tさん 親が出願の締め切り日や、受験会場までの行き方を調べてくれたことで、勉強に集中できました。

法政大学4年Yさん 親の気持ちはわかるのですが、試験前に特別な料理を作ってくれたことがかえって体の負担になりました。いつも通りが一番いいと思います。

早稲田大学2年Mさん 母親がその時期に入院したため、父親がお弁当を作ってくれたり、入試制度を調べてアドバイスしてくれたりしました。

トークイベントでマイクを手に話す立教大学(左)、中央大学(右上)、法政大学(右下)の学生たち

――自身の大学のことや、大学での活動などについて、一言ずつ紹介してください。

上智大学3年Sさん 上智大学はキリスト教の大学で、「他者のために、他者とともに」という理念を掲げています。この理念に共感して、社会のために何かしたいという思いを持っている学生が多いです。私もいくつかのボランティア活動に参加しています。

中央大学3年Tさん 中央大学には、自分のやりたいことや学びたいことを応援してくれる雰囲気があります。研究に対して熱意のある先生方が多く、学生も引き込まれて熱心に講義を受けています。

法政大学4年Yさん 法政大学は留学や奨学金の制度が整っているのが魅力です。サークルもたくさんあります。学部を超えて一緒にディスカッションを行う機会もあり、自主性が育ちます。就活に対しても意識が高い学生が多く、周りから刺激を受けながら学生生活を送っています

明治大学1年Aさん 明治大学は4つキャンパスがありますが、どこもアクセスがよく、学生同士の交流もできます。アジアでのインターンシップや留学制度も整っていて、自分の可能性を広げることができます。私は学生プロジェクトに所属していろいろな活動を行っています。高校時代にはできなかった体験ができて楽しいです。

立教大学2年Kさん 学部や学年を超えていろんな人と出会うことができ、刺激を受けています。留学生もたくさんいて、いろいろな人と関われるのが、立教大学のいいところです。

早稲田大学2年Mさん 早稲田大学はいい意味で、洗練されていない大学です。真面目に取り組む人をバカにせず、かっこいいと応援します。そんな学風が大好きです。

最後に上智大学のSさんが「周りに流されず、自分なりのペースを作ることが大切です。自分を信じて頑張ってください」と受験生にエールを送り、トークイベントを締めくくりました。


自分に合う入試を見つけて

今回のイベントについて、中央大学入学企画課の永田洋一副課長は、こう話します。

「現在の大学受験は複雑化していますから、志望校の入試内容をよく調べて理解することが重要です。私立大学はさまざまなタイプの入試を設定していますから、必ず自分の得意分野で勝負できる入試制度があり、その入試を利用することで、合格の確率は上がってきます。入試は情報戦の一面もあるので、ぜひ積極的に情報収集をして、自分に合う入試を見つけてください!

母親と一緒に来場した高校3年の女子生徒は、「1カ所でいろいろな大学の話を聞けるのがよかったです。大学によってずいぶん入試が違うと実感しました。志望校選びの参考になりました」と話していました。また、高校3年の男子生徒は「各大学の話を聞いて自分に合った入試がわかってきました。志望校を絞り込むことができました」と感想を述べていました。

志望大学の情報を得る方法として、学校説明会へ参加することは有効です。複数大学が参加する説明会では、大学の比較がしやすく、自分の希望がはっきりとわかってくることがあるでしょう。高校生の皆さんは、機会を見つけてぜひ参加してみることをおすすめします。

(文=柿崎明子、写真=中央大学提供)

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【写真】6大学合同説明会が初開催 一度に比較できて「志望校が絞り込めた」と受験生の声

大学ごとに20分間の説明会が行われた。一般選抜を中心に受験に際して注意すべきことや、大事なチェックポイントなどが大学担当者から伝えられた
大学ごとに20分間の説明会が行われた。一般選抜を中心に受験に際して注意すべきことや、大事なチェックポイントなどが大学担当者から伝えられた

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