ウイグル族の学者、香港で行方不明ではなかった 人権団体が訂正
人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルは30日、ウイグル人留学生が香港の空港で行方不明になったとする声明を訂正し、本人の「消息を確認している」と発表した。
アムネスティは声明で、「アブドゥワイリ・アブドゥレヘマンさんからは(中略)香港には渡航していないと、先に得た情報とは異なる説明を受けた」と述べた。
「自分や自分の大切な人が危険にさらされていると思った時に、我々に連絡してくれる人たちを支援できるよう、これからも努力していく」
アブドゥレヘマンさんが所属する大学の職員らも、アブドゥレヘマンさんが過去7年拠点を置いている韓国・ソウルで安全な状態にあると語っている。
香港政府は、アムネスティに「謝罪」を求めている。
アムネスティは26日、アブドゥレヘマンさんが5月10日にソウルから香港へのフライトに搭乗し、その後家族や友人と連絡が取れなくなったとしていた。
アムネスティによれば、アブドゥレヘマンさんの最後の連絡は、「香港空港に到着後、中国警察に尋問されている」と主張する友人へのテキストメッセージだったという。
香港政府は当時、この疑惑に反論した。
アブドゥレヘマンさんが博士課程を学んでいるソウルの国民大学校体育学部のチョ・ウクヨン学部長も29日、聯合ニュースの取材で、アムネスティの報告と食い違う説明をした。アブドゥレヘマンさんとは常に連絡を取り合っており、最近もソウルにいることを確認していると述べた。
BBCの取材に対しても、チョ学部長はこの説明を繰り返した。
BBCはアブドゥレヘマンさんに連絡を取り、質問したが、アブドゥレヘマンさんはまだ回答していない。
アムネスティはBBCからチョ学部長の発言について問われると、訂正の声明を読むよう答えた。アブドゥレヘマンさんに関する最初の主張とアムネスティへの最新の連絡についてどのように確認したのかという追加の質問には、まだ答えていない。
アムネスティの訂正に対し、香港政府は同団体が香港と中国を「悪意を持って誹謗(ひぼう)中傷」したとし、「責任を持って誠実に謝罪する」よう求めた。
中国による「再教育」への非難
英米および国際的な人権監視団体は、中国政府が約100万人のウイグル族を新疆に設置したいわゆる「再教育収容所」に拘束していると非難している。また、子供を家族から引き離したり、文化的伝統を破壊していると指摘している。
新疆では、警察や検問所、ナンバープレートから個人の顔までスキャンするカメラなどによる、監視のネットワークが張りめぐらされているという。
中国はさらに、ムスリム(イスラム教徒)を標的にしているほか、新疆での宗教行事を禁止したり、モスク(イスラム教礼拝堂)や墓所を破壊していると非難を浴びている。
昨年には国連が、中国が新疆で「国際犯罪、特に人道に対する罪を犯している可能性がある」と非難する画期的な報告書を発表した。
また中国に対し、「恣意(しい)的に自由を奪われたすべての個人」を解放するよう求めている。
中国はこの報告書を、西側の権力者が仕組んだ「茶番劇」だとした。