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怜悧な外交官が溺甘パパになって、一生分の愛で包み込まれました
5.予想外の再会

枝々に桜の花が咲き乱れ、ひらひらと散る花びらが道をピンク色に染めている。四月第一週の今日は曇天で、今朝まで降っていた雨でアスファルトは濡れていた。

「湊人。今日の夜ご飯、なににしよっか」
「ばーぐ!」
「ふふっ、またー?」

どんよりとした天気を物ともせず、楽しげな親子の声がスーパーに響く。

沙綾は湊人の小さな手をしっかりと握り、リクエストされたハンバーグの材料を買い物かごへ入れると、明日の朝食のパンと弁当用の食材も一緒に会計を済ませて店を出た。

離乳食を卒業した湊人の大好物はハンバーグで、週に二度は作っている。

大した手間も掛からず、ひき肉と玉ねぎの他に、なかなかそのままでは食べさせにくいピーマンや人参をみじん切りにして混ぜ込めるので、栄養バランス的にも助かるメニューだ。

「明日はぽかぽかのお天気なんだって。お弁当持ってちょっと遠くの大きな公園に行こっか」
「いこっか!」

嬉しそうに言葉を繰り返す湊人の笑顔を見て、沙綾も自然と笑顔になる。

湊人が一歳になったのをきっかけに、沙綾は与えられたマンションを出て、都心から離れたところにアパートを借りていた。

徒歩圏内に公園やスーパーがあるというのは、小さな子供をひとりで育てている沙綾にとって重要な条件だった。

拓海の連絡先は消してしまったため、コンシェルジュに部屋の名義人を調べてもらったところ、彼の名前だったので解約も出来ず、そのまま出てきたが致し方ない。

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