矯正歯科治療は痛い？痛みの原因や対処法を解説

「矯正歯科治療を始めたいけれど、痛みが心配」と不安に感じている方もいるのではないでしょうか。

矯正歯科治療は歯を動かす過程で痛みを伴う場合がありますが、その痛みには原因があり、適切な対処をすれば軽減できます。

この記事では、矯正歯科で痛みを感じる理由や痛みを和らげる方法、矯正歯科治療中の食事の工夫について詳しく解説します。

矯正歯科治療は公的健康保険適用外の自費（自由）診療です。
一般的な治療期間：2年から3年、一般的な通院回数：20回～30回
矯正歯科治療の一般的なリスクと副作用：痛み ・口腔内不潔域の拡大と自浄作用の低下・歯根への影響（歯根の短小、歯の失活、歯肉退縮、歯根露出、失活歯の歯根破折）・顎関節症状・後戻り·加齢による変化・骨癒着

矯正歯科治療で痛みを感じる原因は大きく3つ

矯正歯科治療では、治療の過程で痛みを感じることがあります。

特に装置の装着直後や調整後は、口内に違和感を覚えたり、歯が圧迫されるような痛みを感じたりする場合が多いです。

痛みの原因は主に以下の3つに分けられます。

• 矯正装置が当たる痛み
• 歯が動く痛み
• 食べ物を噛む際の痛み

それぞれ詳しく解説します。

矯正装置が当たる痛み

矯正装置が頬の内側や舌に当たり、痛みを感じる場合があります。

特に、矯正歯科治療を始めたばかりのころや、ワイヤーの調整を行った直後は口腔内が装置に慣れていないため、違和感や痛みが生じやすくなります。

ワイヤー矯正の場合、ブラケットやワイヤーが頬の内側や舌に触れることで、傷や口内炎を引き起こしかねません。

また、矯正歯科治療による歯の動きに伴い、ワイヤーがずれ、後方のワイヤー先端が粘膜に刺さることで痛みが生じる可能性があります。

一方で、マウスピース矯正の場合は装置が薄く作られているため、ワイヤー矯正に比べると痛みを感じるリスクは少ないです。

しかし、稀ではありますがマウスピースの縁が歯茎に当たり痛みが出ることがあります。

特に、マウスピースを新しく交換した直後は、フィット感が変わり違和感や痛みを感じることも少なくありません。

また、楽器を演奏する方やスポーツをする方は、矯正装置が唇や口内に触れて痛みを感じる場合があるため、注意が必要です。

たとえば、トランペットやトロンボーンなどの金管楽器は、マウスピースが口腔内に強く当たって痛みが出やすいです。

また、バスケットボールやサッカー、ラグビーなどのコンタクトスポーツでは、顔への衝撃で矯正装置が口内を傷つけるリスクがあります。

このように、矯正装置が口腔内に当たることによる痛みはさまざまな状況で起こる可能性があります。

歯が動く痛み

矯正歯科治療の目的は、歯を少しずつ動かして理想の位置に整えることです。

この過程で、歯を支えている歯槽骨が吸収しその後再生するというサイクルが繰り返されます。

歯を動かす際に歯根膜や骨に負担がかかり、特にワイヤー矯正では装置を調整した直後に、押されるような痛みやうずくような痛みを感じる場合が多いです。

マウスピース矯正の場合は、1枚のマウスピースで動かす歯の距離が小さいため、ワイヤー矯正と比較すると痛みは軽度と言われていますが、それでも痛みが全く出ないわけではありません。

痛みを感じるということは、歯がしっかりと動いている証拠でもあります。

食べ物を噛む際の痛み

矯正歯科治療中は、食べ物を噛む際に痛みを感じる場合があります。

矯正歯科治療を始めたばかりのころや、ワイヤーの調整・マウスピースの交換直後は、歯が動いている途中のため、不安定な状態になっています。

そのため、噛む際の負荷が大きくなり、痛みを感じやすくなるのです。

特に、硬い食べ物を噛む際に痛みを感じやすいです。

たとえば、フランスパンやステーキ、ナッツ類などは、噛む力が必要なため、矯正歯科治療中の歯には大きな負担となります。

また、歯と歯が軽く触れるだけで痛みを感じる場合もあり、食事自体がストレスになることも少なくありません。

食事の際に痛みを感じる場合は、硬い食べ物を避け、柔らかい食べ物を選ぶことが大切です。

矯正歯科治療の痛みはどのくらい続く？

矯正歯科治療で感じる痛みは、長期的に継続するわけではありません。

矯正装置を付けた3〜6時間後から痛みが徐々に出始め、３〜５日、長くても1週間程度で収まるのが一般的です。

特に、装着した翌日は痛みが強くなる傾向があり、「歯が浮くような感覚」や「じんじんとした痛み」を感じることが多いです。

ワイヤー矯正の場合、歯にかかる力が調整されるたびに痛みが出やすく、調整後の2〜3日間は食べ物が噛みにくくなる可能性があります。

マウスピース矯正の場合は、歯全体に均等な圧力がかかるため、ワイヤー矯正より痛みは少ない場合が多いですが、新しいマウスピースに交換した直後は軽い痛みや違和感が生じる可能性があります。

どちらの治療方法でも、痛みが続くのは数日から1週間程度で、時間とともに落ち着く場合がほとんどです。

矯正歯科治療は時間をかけて歯を動かすため、多少の痛みは避けられませんが、適切な対処をすれば必要以上に苦しむことはありません。

もし2週間以上強い痛みが続く場合や、日常生活に支障をきたすほどの痛みがある場合は、装置が適切にフィットしていない可能性が考えられるため、早めに矯正歯科へ相談しましょう。

矯正歯科治療中の痛みが強いときの対処法

矯正歯科治療中の痛みが強いときは、適切な対処をすることで和らげることができます。

対処法は主に以下の４つです。

• 痛み止めを服用する
• 矯正歯科用のワックスを使用する
• 硬い食べ物を避ける
• 矯正歯科医に相談する

それぞれの対処法を詳しく解説していきます。

痛み止めを服用する

痛みが強く、日常生活に支障をきたす場合は、痛み止めを服用する方法もあります。

痛み止めは、ワイヤーの調整後やマウスピース交換直後の強い痛みに対し、一時的に痛みを軽減できます。

ただし、鎮痛剤の中には炎症を抑える作用が強いものがあり、頻繁に服用すると歯の動きが鈍くなる可能性があるので、注意が必要です。

そのため、痛みがどうしても我慢できないときに限って使用し、最小限の使用にとどめるのが理想です。

痛み止めの使用について不安がある場合は、矯正歯科医に相談し、適切な種類や服用量について確認することをおすすめします。

矯正歯科用のワックスを使用する

矯正装置が口の中に当たって痛む場合は、矯正歯科治療用のワックスを使うのが適切です。

ワイヤーやブラケットが粘膜に当たると傷や口内炎ができる可能性があり、ワックスは粘膜への刺激を和らげ、痛みの発生を防ぐ効果があります。

矯正歯科用のワックスは、適量を指で丸め、痛みを感じる装置の部分に押し付けて使います。

ワイヤーが頬や舌に触れて違和感がある場合や、ブラケットが擦れて痛む箇所に使用すると効果的です。

ただし、食事や歯磨きの際に取れやすいため、こまめな付け直しが必要です。

矯正歯科用のワックスは、矯正歯科で処方してもらえます。

持っていない場合は矯正歯科医に相談してみてください。

硬い食べ物を避ける

矯正歯科治療中は、硬い食べ物を避けた食事が望ましいです。

矯正装置をつけている間は、歯に圧力がかかり、敏感になっています。

硬いものを噛むと強い痛みを感じる場合が多いため、食事の内容には注意が必要です。

たとえば、以下のような硬い食べ物は避けたほうが安心です。

• せんべい
• ナッツ
• フランスパンなどの硬いパン
• スルメ
• りんご
• ステーキなど厚切りの肉

また、痛みがある間は、以下のような柔らかい食べ物を選ぶと、負担が少なく食事がしやすくなります。

• おかゆ
• 蒸しパン
• うどん
• 豆腐
• ヨーグルト

矯正歯科治療中は、無理に噛まず、柔らかいものを選ぶようにしましょう。

矯正歯科医に相談する

痛みが強すぎて耐えられない場合や長引く場合は、無理をせず矯正歯科に相談することが大切です。

治療中はある程度の痛みは避けられませんが、通常1週間ほどで落ち着きます。

しかし、2週間以上続く場合や、食事や睡眠に支障をきたすほど強い痛みがある場合は、装置の不具合や噛み合わせの問題が考えられます。

適切な処置を受けないと、治療の計画に影響を与える可能性もあるため、早めの対応が必要です。

矯正歯科治療中に痛みがあるときの食事のコツ

矯正歯科治療中に痛みがあると、食事がつらく感じることがあります。

食事の際はできるだけ歯に負担をかけない工夫が必要です。

矯正歯科治療中に痛みがあるときの食事のコツは、以下のとおりです。

• 柔らかいものを食べる
• 食べやすい大きさにする
• 口内炎を予防する栄養素を摂る

それぞれ詳しく見ていきましょう。

柔らかいものを食べる

矯正歯科治療中に痛みを感じる場合、なるべく柔らかい食べ物を選ぶと、噛むときの負担を軽減できます。

具体的には、以下のような食べ物がおすすめです。

柔らかい食材を選ぶことで、痛みを感じにくくなり、無理なく食事ができます。

噛まずに済むものだけを食べ続けると顎の筋肉が弱ってしまうため、痛みが落ち着いたら無理なく噛めるものを選ぶようにしましょう。

食べやすい大きさにする

大きな食材は強く噛む必要があり、痛みを感じやすくなります。

そこで、食べ物を小さく切ったり、すりおろしたりすることで、治療中の痛みを軽減できます。

以下の方法を取り入れることで、矯正歯科治療中でもおいしく食事をすることが可能です。

食材を適切なサイズに加工すると、痛みを抑えつつ、栄養バランスの良い食事を摂ることができます。

矯正歯科治療中は噛み方や食べ方にも気を配りながら、無理なく食事を楽しむ工夫が必要です。

口内炎を予防する栄養素を摂る

矯正歯科治療中は口内炎ができやすいため、ビタミンB2やB6を積極的に摂取することが大切です。

矯正歯科治療中は食べやすさを優先するあまり、栄養が偏りがちになるため、口内炎ができやすくなるのです。

ビタミンB2やB6には粘膜を健康に保ち、口内炎の回復を助ける働きがあるため、意識して摂取することで予防につながります。

B2やB6は、以下のような食べ物に多く含まれています。

痛みを軽減しながら、健康的な食生活を心がけましょう。

矯正歯科治療の痛みについてよくある質問

矯正歯科治療の痛みについて、よくある質問にお答えします。

ワイヤー矯正とマウスピース矯正どちらが痛い？

矯正歯科治療の痛みには個人差がありますが、一般的にワイヤー矯正のほうが痛みを感じやすいとされています。

ワイヤー矯正は、歯にブラケットとワイヤーを装着し、力をかけて歯を動かしていくため、矯正装置を調整した直後は強い圧力を感じることが多いです。

マウスピース矯正は比較的弱い力で歯を動かすため、痛みが少ないといわれていますが、新しいマウスピースに交換した直後は、歯に締め付けられるような痛みを感じる場合があります。

どちらの矯正方法も、歯が動く過程である程度の痛みを伴います。

治療方法は、痛みの感じ方だけでなく、治療の目的やライフスタイルを考慮して選ぶことが大切です。

マウスピース矯正は痛みがあるときは外してもよい？

マウスピースは簡単に取り外しができますが、1日20時間以上の装着が推奨されているため、基本的には痛みがあっても外さずに装着を続けることが重要です。

痛みがあるからといって頻繁に外してしまうと、歯の動きが計画通りに進まず、治療期間が長引く可能性があります。

また、長時間外してしまうと歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」が起こり、かえって痛みが長引く原因にもなります。

とはいえ、強い痛みがある場合は、一時的に外して休憩をとるのも選択肢の一つです。

ただし、1時間以上外すと効果に影響が出る可能性があるため、できるだけ短時間にとどめましょう。

マウスピース矯正の痛みは一時的なもので、数日すれば歯が新しい位置に慣れ、痛みも軽減していきます。

外す時間を最小限にしながら、できるだけ装着を続けることが大切です。

矯正の痛みを例えるとどんな感じ？

矯正の痛みは「鈍い締め付け感」や「筋肉痛のような痛み」に例えられることが多いです。

矯正歯科治療は歯を少しずつ動かすため、急激な痛みではなく、じわじわとした圧力を感じることが一般的です。

具体的には、以下のような例えをする表現の痛みがあります。

矯正歯科治療の痛みは慣れると落ち着く痛みなので、適切なケアをしながら乗り越えていきましょう。

矯正歯科治療の痛みが不安な方はブライフ矯正歯科へ

矯正歯科治療の過程では、矯正装置が当たる痛みや歯が動く痛み、食事時の不快感など、痛みを伴う場合があります。

痛みの程度には個人差があり、適切なケアを行えば不快感を最小限に抑えることが可能です。

痛みを和らげるためには、冷やしたり、食事の工夫をしたりするなどの方法を試すと良いでしょう。

矯正歯科治療は長期間にわたるものですが、正しい知識と対策によって快適に乗り越えられます。

「矯正歯科治療の痛みが不安」「自分に合った治療方法を知りたい」とお考えの方は、ぜひブライフ矯正歯科にご相談ください。

日本矯正歯科学会の認定医が患者さま一人ひとりの痛みに配慮しながら、負担を軽減できる治療を行なっています。

静岡市周辺にお住まいの方は、ぜひ一度お問合せください。