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連載

入山章栄の 経営理論でイシューを語ろう
矢印

Z世代の「年収2000万円超の総合商社離れ」4つの理由…大企業で高年収を得ながら“やりたい仕事”は無理ゲーなのか

入山章栄[早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授]構成・長山清子、編集・小倉宏弥、連載ロゴデザイン・星野美緒

Jan 28, 2025, 5:00 PM

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Shutterstock/yu_photo

今週も、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄先生が経営理論を思考の軸にしてイシューを語ります。参考にするのは先生の著書『世界標準の経営理論』。ただし、本連載はこの本がなくても平易に読み通せます。

高年収の総合商社にいながら、自身の思い描くキャリアを築く方法はあるでしょうか。入山先生は「いまの総合商社は、4つの理由で個人のキャリアアップが描きづらい。若い人たちの感覚に合わなくなってきている」と解説します。

※この記事は2024年9月5日初出です

【音声版の試聴はこちら】(再生時間:17分01秒)※クリックすると音声が流れます

年収2000万円の商社を若手が去る理由

こんにちは、入山章栄です。

みなさんは「総合商社」というと、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか。僕が若い頃は、世界中を飛び回り、卓越した語学力と人間力で難しい商談を成立させる華やかな職業というイメージでした。ところが近年はそのイメージが崩れてきているようです。


編集・小倉
編集・小倉

総合商社5社で2024年3月期の平均年収が過去最高になったそうです。三菱商事はなんと前年比8%増の2090万円。三井物産は1899万円、伊藤忠は1753万円、住友商事は1758万円、丸紅は1654万円でした。

投資家のウォーレン・バフェットもコロナ前の2020年12月に5大商社の株を買い進めるなど、商社の成長性が注目されています。

一方で、自分の周りの商社マンも30代くらいになるとキャリアで行き詰まり、辞めるに辞められず悩む人や辞める人が不思議と多い印象です。


なるほどね。しかし三菱商事は年収2000万円超とは、すごい高額ですね。荒幡さんが切ない顔をしてますが。


BIJ編集部・荒幡
BIJ編集部・荒幡

自分の年収を思い出して、悲しくなってきました。


小倉さんの言う通り、実は今、総合商社を辞める若手はめちゃめちゃ多いですよ。私の周りも、バンバン辞めています。


編集・小倉
編集・小倉

やっぱりそうなんですか。でも、こんな高給をもらえる仕事は滅多にありませんよね。だから年収2000万円の商社で働きつつ、キャリアアップする方法があれば1つのモデルケースになると思いますが、何か方法はあるものでしょうか。


これは、すごく良いところを突いた問題提起ですね。僕の理解では、商社はいま本当に難しい状況にあります。

先ほどお伝えしたように、ある大手総合商社では、新卒で入ってきた社員が、20代のうちに半分になるというほど若手が辞めています。これは一企業の例ですが、5大商社の多くはそうかもしれませんね。


編集・小倉
編集・小倉

そんなに離職率が高いとは知りませんでした。


現在の高給は20~30年前の先輩たちのおかげ

しかも厄介なことに、商社の役員たちの中には、それにあまり危機感を抱いていない人もいるようです。「うちはこんなに給料が高いのに、ステータスもいいのに、何が不満で辞めるの?」と首を傾げている。要するに給料が高いから、まだイケてると思ってるんですよ。

僕から見ると、現代の大手総合商社は、ミレニアル世代やZ世代のような若い世代に好まれない理由が、少なくとも4つあります。解説していきましょう。

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