マイクロソフト(Microsoft)は、管理職のみが閲覧できる業績評価に基づく、従業員の新評価制度を導入した。Insiderが閲覧した複数の文書で明らかになった。
この新評価は、マイクロソフトの社内用語で給与やボーナスを意味する「報酬」を決定するために使われる。マイクロソフトはこの新評価を「インパクトディスクリプター」と名付けている。同社は、個人に適用される業績評価や分類とは異なるものであり、「従業員が直に接するものではない」と、Insiderが閲覧した管理職向けのガイドの中では強調されている。
「誰もが時間をかけて学び、成長し、変化することができるという当社の成長マインドセットのカルチャーに反するため、業績評価や分類は利用しない」ということが、今回閲覧した文書の一つでは言及されている。
新評価は規程で定められている。これは「インパクトを決定するためのベンチマークガイダンス」と呼ばれ、「マネジャー専用資料」の印が付けられている。その評価は、「期待よりも低いインパクト(LITE)」「期待よりもわずかに低いインパクト(SLITE)」「成功したインパクト」「卓越したインパクト」に分かれている。
各評価の詳細は以下の通り。
- 期待よりも低いインパクト(LITE):従業員が、当該会計年度中に期待に応えなかったか、一貫しては応えられなかった。および/または、失敗に対して個人的な責任を負ってから、意見を求め、より大きなインパクトを残すために学びを生かすという成長マインドセットを示さなかった。および/または、マイクロソフトの文化的な期待や価値観を満たせなかった。
- 期待よりもわずかに低いインパクト:従業員が、期待に応える機会を何回か逃したが、失敗に対する個人的な責任を負ってから、意見を求め、より大きなインパクトを残すために学びを生かすという成長マインドセットを示した。および/または、マイクロソフトの文化的な期待や価値観を不規則ながら満たした。
- 成功したインパクト:従業員がすべての期待に一貫して応えたうえで、往々にして、成功したインパクトで求められているように、いくつかの点で期待を上回った。さらに、失敗に対する個人的な責任を負ってから、意見を求め、より大きなインパクトを残すために学びを生かすという成長マインドセットを示し、マイクロソフトの文化的な期待や価値観を一貫して満たした。
ガイドは、これらの条件のすべてを満たしてはいない従業員は、「期待よりもわずかに低いインパクト(SLITE)」または「期待よりも低いインパクト(LITE)」に分類されるとしている。
- 卓越したインパクト:従業員が、すべての点で期待を上回り、持続的で有意義な、大きいインパクトを残した。失敗に対する個人的な責任を負ってから、意見を求め、より大きなインパクトを残すために学びを生かすという成長マインドセットを示し、マイクロソフトの文化的な期待や価値観を一貫して満たした。
管理職は、従業員の「インパクト」を説明するためにインパクトディスクリプターを使用するよう指示されている。例えば、「あなたは、この会計年度において、……を行った際に、[成功した/卓越した/低い/わずかに低い]インパクトを残した」といった具合だ。
管理職は、インパクトディスクリプターを「あなたは成功した/卓越した/低い/わずかに低いインパクトを残したと評価される」といった具合に業績評価や分類に使用しないように、またLITEやSLITEのような略語を使用しないように指示されている。
文書によると、この新評価は、管理職がインパクトと報酬を決定して、従業員に明確な業績のフィードバックを提供し、従業員が自分のインパクトと報酬との関係をよりよく理解できるようにすることを目的としている。
マイクロソフトの広報担当者は、この評価は従業員に対する業績評価や分類を意図したものではなく、明確性と一貫性を持たせるためのものであると説明している。広報担当者によれば、管理職は、具体的な事例と結びつけさえすれば、この言葉を使うことができるという。
「成功したインパクトを基準にすることで、卓越したインパクトには卓越した報酬を引き続き確保することができる。期待よりもインパクトが低い場合はそれが明確になるため、報酬が低くても受け入れられる」と、ある文書には記されている。
マイクロソフトは今年、昇給を凍結し、ボーナスと株式報酬の予算を削減したが、新評価制度が導入されたのはその後のことだ。同社は管理職に対し、業績評価中にこのことを従業員と話し合わないよう指示している。
マイクロソフトはInsiderが閲覧した文書の中で、管理職は個々の従業員に対する報酬決定の「説明」として予算削減を使うべきではなく、代わりに従業員自身の「インパクト」が「報酬」を決定することを強調するように求めている。