Location via proxy:   [ UP ]  
[Report a bug]   [Manage cookies]                

「外資にやらせていいのか」ふるさと納税、アマゾン参入に懸念の声

アマゾンの写真

アマゾンは2025年春、「ふるさと納税」事業に参入するとの報道された。

REUTERS/Brendan McDermid./File Photo

ふるさと納税にアマゾンが2025年春にも参入するとの報道を受け、ふるさと納税制度に対する懸念が広がっている。

ふるさと納税の大手ポータルサイトとしては、楽天ふるさと納税、ふるさとチョイス、さとふる、ふるなびなどが知られている。

自治体の返礼品を紹介しているポータルサイトは、サービスによって異なるが寄付金のうち「10%程度」を手数料として寄付先の自治体から徴収している。一方でアマゾンは手数料を大幅に引き下げたプランを検討しているという。

破格の手数料か

朝日新聞デジタルの報道(2024年3月11日)によると、アマゾンが検討しているポータルサイトのプランの一部では、初期手数料250万円を支払えば手数料が3.8%まで引き下げられる仕組みもある。

初期手数料を負担する必要があるものの、手数料が従来サービスよりも大幅に低いため、手数料が割引される期間の2年間は年4000万円程度の寄付があれば、自治体としては採算が取れる。

1兆円超え市場、手数料も多額に

グラフ

ふるさと納税の寄付額は急激に増えている。

出典:総務省「令和5年度実施ふるさと納税に関する現況調査結果」

アマゾンの参入によって、本来は住んでいる自治体に納められる税金の一部が、外資系企業に手数料として支払われることを問題視する声もある。

アマゾン参入の報道を受け、Xには「日本の税金に関わることを外資企業にやらせていいのか」などの投稿が相次いだ。

ふるさと納税の寄付額は急速に拡大しつつあり、2023年度は初めて1兆円を突破するとみられており、ポータルサイト側が得る手数料も多額になっている。

アマゾンの参入について、あるポータルサイトの関係者は「外資のポータルサイトとなれば国民からの理解を得るのは難しい面もあるのでは」と指摘する。

「ただし、運送網を武器に、従来よりも低い手数料を設定するとなれば、既存のポータルサイトの手数料に関してはこれまで以上に厳しい目が向けられる可能性がある」(ポータルサイト関係者)

「お得な返礼品選び」の制度ではない

総務省のウェブサイト

総務省『ふるさと納税ポータルサイト』では、「ふるさと納税で日本を元気に!」とある。

撮影:横山耕太郎

アマゾン参入の懸念点について、ふるさと納税の関係者は「アマゾンは圧倒的なシェアを持つECサイトだ。ふるさと納税という制度が、ECでほしい商品を選ぶような傾向がさらに強まってしまうのではないか」と話す。

ふるさと納税を巡ってはこれまでも、地域の特産に関係のない返礼品を打ち出したり、寄付額に占める「返礼品の調達額の上限規定」を上回ったりと、返礼品競争の過熱が批判されてきた。

各ポータルサイトについても、お得な返礼品の自治体をアピールするようなサイト掲載もあり、返礼品競争を助長してきた面がある。

総務省はWebページでは制度の趣旨について、「それぞれの自治体がホームページ等で公開している、ふるさと納税に対する考え方や、集まった寄附金の使い道等を見た上で、応援したい自治体を選んでください」と呼びかけている。

Popular

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み