9月29日公開の映画「ドリーム 私たちのアポロ計画」のポスターが発表されました。1960年代、米国の初期の宇宙開発を支えた女性たちを描く映画です。
舞台は1960年代初頭、旧ソ連と熾烈な宇宙開発競争を繰り広げる米国。NASAの頭脳として、正確な軌道計算をする重要な役割を担った3人の女性数学者の活躍を描きます。
本国で「ラ・ラ・ランド」を超える大ヒットを記録しているこの作品がついに日本でも公開。
しかし、「私たちのアポロ計画」とする邦題を巡って、SNSを中心に批判的な意見も出ています。
「アポロ計画」では内容と違う?
その理由は、映画の中では月面着陸に成功した「アポロ計画」ではなく、人類初の有人宇宙飛行を目指す「マーキュリー計画」を中心に描いているから。
「マーキュリー計画」(1959〜1963)、「アポロ計画」(1961〜1972)、そして「ジェミニ計画」(上記2つの中間にあたるもの、1961〜1966)はそれぞれ別物。当時NASAが取り組んでいた一連の宇宙開発計画として連なるものではありますが、異なるプロジェクトとして独立していました。
「描かれている内容とタイトルが異なるのは“間違い”では?」という声が上がっています。
「広く宇宙開発計画を連想しやすい言葉を」
この邦題はどんな経緯や意図で決まったのでしょうか? 同作を配給する20世紀フォックスの作品担当者に聞きました。
「映画の内容としてはマーキュリー計画がメインであることは当然認識しています」
「その上で、日本のお客様に広く知っていただくための邦題として、宇宙開発のイメージを連想しやすい『アポロ計画』という言葉を選びました」
原作のノンフィクション「Hidden Figures」(「隠された(人たち/数字)」のダブル・ミーニング、映画原題と同じ)では、マーキュリー計画に関するエピソードだけでなく、より前後に広い時間軸が描かれているそう。
「どちらも当時のNASAで並行して動いていた宇宙開発計画であり、最終的にアポロ計画につながるものとも捉えられる」と説明します。
邦題を決める際に「確かに懸念の声も上がった」としつつ、「作品の本質にあるのは、偉大な功績を支えた、世の中では知られていない3人の女性たちの人間ドラマ。ドキュメンタリー映画ではないので、日本のみなさんに伝わりやすいタイトルや言葉を思案した結果」と判断の理由を話します。
「ネット上で否定的な意見があることも確認していますが、こちらからコメントを出すつもりは現段階ではありません。この作品に限らず、映画は観る前も観た後も、さまざまな感想を持っていただくものと考えています」
更新
邦題から「私たちのアポロ計画」が消え、「ドリーム」へとタイトルが変更された、とITmediaが報じた。公式サイトは6月9日午後7時現在、閲覧できない状態になっている。
更新2
配給元の20世紀フォックスの公式Twitterでタイトル変更が発表された。