「食べログのお店の評価をいきなり3.0に下げられ、不思議に思って連絡をしたら『予約サービス』を利用するよう促されました」
ワインバル「ウルトラチョップ」を運営するエッヂ代表取締役の高岳史典氏が、食べログの営業方法への違和感をBuzzFeed Newsの取材に明かした。
一体、ウルトラチョップと食べログとの間に何があったのか。
2016年3月、高岳氏に食べログを運営するカカクコムの営業担当者(A氏)から、食べログの説明をしたいと連絡があった。
高岳氏は以前、代理店経由で食べログと契約していたことがあったが、評価(点数)のアルゴリズムが不透明だと感じ、契約を解除していた。
説明の場で、以前のように代理店を通さずカカクコムが直接担当し、評価のアルゴリズムは「閲覧数」と「直近のコメント数」が影響を及ぼすとA氏は話した。その内容を受け、高岳氏は、全店舗で食べログと再契約した。
8月、担当営業のA氏からの連絡が途絶え、高岳氏は不安を覚えた。
評価のアルゴリズムは「閲覧数」と「直近のコメント数」が影響を及ぼす、と説明があったのに、評価が上がらない。似たようなコメント数の店の採点と比べても、納得がいかなかった。
要領を得ない回答、募る不信感
再契約を前に、不信感を伝えたメールに返信があったのは2日後。送り主は、以前、「評価のアルゴリズムは『閲覧数』と『直近のコメント数』が影響を及ぼす」と話したA氏ではなく、面識のないB氏からだった。
8月22日17時、B氏とウルトラチョップの麻布十番店で打ち合わせをした。ここでは「A氏は退職した」「A氏が何を言ったか知らないが、評価アルゴリズムのことはよくわからない」と説明された。
不安がさらに増した高岳氏は、その日、「契約延長は少し検討させてほしい」と話し、打ち合わせを終えた。
9月6日、高岳氏は店舗の評価が「3.0」になっていることに気付いた。レビュアーも、レビュー件数も異なる複数店舗の評価が同じ時期に「3.0」になった。違和感を感じた。
B氏に電話すると「そういえばスコアの出し方を何かするとか言ってました」と要領を得ない回答が返ってきた。さらに「こちらからお話したいこともあるので、一旦掛け直してよいですか」と言われた。
しばらくして電話があり、「今回から食べログ予約を利用してもらわないと、検索順位が落ちることになりました」と説明され、自社の予約サービスを営業された。
さらにB氏の上司とみられる人物から電話があった。高岳氏は、契約をどうするかは検討するとして、担当営業の変更を願い出た。
電話の後、高岳氏はFacebookとTwitterに、次の内容を投稿した。
9月7日正午過ぎ、「食べログ営業部長」の肩書きを持つ人物から、謝罪の電話がかかってきた。言葉に詰まり、平謝りをするような話し方だったという。
また、高岳氏がSNSに投稿した内容について、「たまたまタイミングが悪かっただけで、店舗の評価と営業活動を連携させてはいない」と釈明された。
アルゴリズムはどのように働き、複数店舗を同時に「3.0」に評価したのか。予約機能の契約や、契約延長と関係はなかったのか。
食べログを運営するカカクコムは9月7日のプレスリリースで、高岳氏のツイート内容を否定するコメントを出している。
自然検索で表示される点数及びランキングにおきましては、オンライン予約機能の利用是非に一切関係なく、これまでと同様ユーザーの評価を基礎に算出、表示をしております
またカカクコムはBuzzFeed Newsの取材に対して、「ネット予約を使うと優先されるのは広告枠(標準ソートの検索結果)です」とし、「本件と点数の見直しについてとは全く関係がございません」と改めて否定。
アルゴリズムについては、「日々見直しを行っており、影響する要素については非公開とさせていただいております」と回答した。
一連の出来事で、高岳氏は
高岳氏は結局、食べログとの契約を打ち切ることに決めた。
BuzzFeed Newsに次のような懸念を示す。
「評価とネット予約の営業がシンクロしてるかどうかは、こちらは知りようがありません。今回のようなタイミングと形で契約を迫られたら、多くのお店が勘違いして、契約してしまうのではないかと心配しています」
更新
高岳氏のコメントの表現を一部あらためました。