寺田稔前総務相の関係する政治団体「寺田稔竹原後援会」(広島県竹原市)が会計責任者として故人を政治資金収支報告書に記載していた問題で、東京地検が捜査に乗り出すことが21日、関係者への取材で分かった。政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いで、寺田氏ら関係者を任意聴取し、起訴か不起訴を判断するとみられる。
政治資金規正法を所管していた総務相経験者が「政治とカネ」問題で捜査対象になるのは極めて異例。捜査のメスが入れば、岸田政権への批判は一層強まるのは必至だ。
竹原後援会は2019、20年の収支報告書に、19年10月に亡くなった男性を会計責任者として記載。添付された宣誓書には、この男性の印鑑も押されていた。
寺田氏は国会で「私が代表の団体ではなく、事務処理の詳細を承知していない」と答弁し、関与や責任を否定。「事務的な連絡ミスで事務を行う者に(死亡が)伝わっていなかった」と説明していた。20日の辞表提出後の会見では「説明してきたことは、うそ、偽りない」と強調していた。
故人を記載した問題を巡っては、市民団体「検察庁法改正に反対する会」が2日、寺田氏や当時の後援会代表と事務担当者ら計4人を同法違反(虚偽記載)や有印私文書偽造の疑いで告発状を地検に提出。10日付で受理されたという。
地検は処罰するだけの悪質性があるかどうかを見極め、立件の可否を慎重に判断するとみられる。