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タブレット購入費痛い 高校入学、事前説明なく

2023年4月12日 05時05分 (4月12日 05時07分更新)
県立高に配備されている貸し出し用端末。左がiPad、右がクロームブック=県教育委員会提供

県立高に配備されている貸し出し用端末。左がiPad、右がクロームブック=県教育委員会提供

 「高校入学の際に準備するタブレット端末が予想外の出費になった」。こんな声がユースク取材班に寄せられた。文部科学省のGIGAスクール構想で、生徒が一人一台端末を持つようになるなど、授業のICT化は急速に進む。制服などを合わせた出費は総額で二十万円以上で、保護者からはため息がもれる。 (山手涼馬)

準備費用総額20万円以上に

 投稿したのは、今月長女が県西部の県立高校に進学した主婦(44)。三月、合格後にもらった入学資料に「タブレット端末が必要」とあるのに気付いた。学校があっせんする業者で購入しても、ケースやキーボード、三年間の補償などを含めて約七万円だった。
 「制服や体操着、教科書代だけでも結構な額がかかる。それにタブレットが加わると、総額で二十〜三十万円かかってしまう」。昨夏のオープンスクールでは説明はなく、「もう少し早く言ってくれたら、お金の面など工夫できたかもしれない。少し驚いたし、思ったよりも出費がかさんでしまった」と嘆いた。
 県教委教育DX推進課によると、全県立高校で個人所有の端末などを使う「BYOD(ブリング・ユア・オウン・デバイス)」は昨年度から始まった。各校の判断で、iPadかクロームブックを授業等で活用。担当者は端末を各家庭で用意する意図を「学校以外の場面でも文房具のように使い、卒業後も活用してもらうため」と説明する。
 「多くはないが、(金銭的なことなど)意見をいただくこともある」と同課の担当者。投稿者の長女が通う高校の副校長は「確かに夏の時点で説明はしていなかったかもしれない」と認めた上で、「必ずしも購入をお願いしている訳ではない」と理解を求める。
 県教委は諸事情で準備するのが難しい家庭向けに貸し出し用の端末も用意しており、昨年度は計約一万二千六百台を配備。この高校でも(1)各家庭で既にある物を持ち込む、(2)学校が指定する機種を自分で購入する、(3)学校のあっせんで購入する、(4)貸し出しの四つの選択肢を提示している。
 貸出時の条件は設けておらず、年度末までの期限付きで無料で借りられる。昨年度の一年生は約二十人が借り、学校で用意されている端末数の一割弱ほどという。期限後の対応については「事情に応じて、その都度各家庭と相談していきたい」としている。
 新生活が始まる春先は、ただでさえ出費がかさむ時期。投稿した主婦は「授業がICT化されること自体は良いことだが、保護者としては、行政に継続的な負担軽減策を求めたい」と話した。
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