主人公のサナギから蝶への変身ストーリーは、都会に行って人が変わってしまった人間を見返すリベンジ物として、それが主目的な訳ではないけど効果は絶大。
一番好きな人に想いを伝えることの素晴らしさ。
ヘンリエッタが短い社交シーズンに、ダメも
とでも当たって砕けろ精神で、悔いの無いよう行動に移す思いきりが胸に来る。
デペン伯の想い方も胸に迫る。何だかかわい過ぎて、キュン死しそうになるほど名シーンと感じる。
コミカルな作風でも才能豊かなさちみ先生の、もうひとつの技量、HQでさんざん腕を振るう読者を感動で泣かせる技がそっとヘンリエッタの生まれ育った家庭描写、父の描写にとりわけ生きている。
彼、女性の人気を集める貴公子として登場したはずなのに、ヒロインを意識し出してから二の線は振り切れてしまって、三の線が絶妙に彼を憎めないキャラに変え、必死な可愛さが前面に!?ーこの展開はかなり笑えた。
そして、父親にまずお伺いをたてるのが、正解かどうかは別として、彼のキャラが意外に真面目君に思えていじましい。
幾つかのシーンで笑いを取って、レッドベター家にも幸せをもたらし、二人が結ばれるまでの過程がありきたりじゃない、こんな見て読んで楽しめる作品を仕上げられるさちみ先生が、HQコミック界にいてくれて良かった。
デベン伯って本当にかわいいとこある、と読み直してまたそう思った。
(誤植はほんとやめて欲しい。世に出る前、校正の段階でなるべく減らして欲しい。)
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