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Arts

失われた日本を求めて――19世紀日本の彩色写真集

YOKOHAMA SCHOOL

「キセル」と呼ばれる江戸時代のパイプを製作する2人の男性。流麗な動きを邪魔しないよう色鮮やかな着物を結んで流行の踊りに興じる見習い芸者たち――。そんな19世紀の日本の写真を収めた新刊「Lost Japan(仮訳:失われた日本)」がこのほど発売された。

一連の写真はイタリア生まれの写真家、フェリーチェ・ベアトが撮影したもの。ベアトは鎖国状態にあった日本が1850年代に開国して以降、最初に日本に入った西洋の写真家のひとりだ。

全国を旅する中で、日本の木版印刷に着想を得たり水彩画家と協力したりして、白黒写真に彩色を施す独自のスタイルを確立した。

新刊書では、初めて日の目を見るベアトの写真も収録。入れ墨に覆われた男性や茶道など、理想の美や伝統を描きながら、めったに見ることができない過去の日本の一時期を垣間見させる内容となっている。

片方の肩を見せて白い化粧をする女性。官能的な画像は19世紀末に多くの旅行客を日本に呼び寄せた=Felice Beato
片方の肩を見せて白い化粧をする女性。官能的な画像は19世紀末に多くの旅行客を日本に呼び寄せた=Felice Beato

ベアトの写真の中で追求されることが多いのは女性美の主題だ。真っ白な化粧を施し、傘を手に夕方の散歩に出る女性の写真もある。

新刊の著者は「当時はエキゾチックなものが求められていた。日本女性の白い肌や独特の髪型、着物、日用品はまさに望み通りのものを体現していた」と指摘している。

ベアトの写真は「風俗画」として知られる芸術様式に近く、機織りやキセルをくゆらす様子など日常の光景を描いたものだ。人力車の車夫や手紙の配達人といった市井の人物を捉えたその写真は、当時の日本のさまざまな社会階層を写し出している。

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