日本の菅直人首相は、法人税や住民税を含め、約40%の法人税の最高税率を来年から、5%引き下げることを明らかにした。民主党出身の氏は、法人税率引き下げの背景として、「多くの企業が海外に移転し、国民が職を失うことを食い止めるためだ」と説明した。最大野党の自民党も、企業の法人税の負担を減らすことに賛成している。少数政党である共産党や社民党の考えは異なるが、法人税率引き下げは既成事実として受け止められている。
◆日本は、世界最悪の財政赤字に苦しんでいる国だ。財政健全性を高めるため、韓国の付加価値税に当たる消費税を引き上げるべきだという主張も出ている。日本財務省は、法人税率引き下げに反対してきた。しかし、他の税金はともあれ、グローバルな競争をしている企業の税金の負担だけを減らしてこそ、日本経済の未来に役立つことになるという共感が広まり、民主党政権は法人税率の引き下げを決定した。台湾やシンガポール、欧州連合(EU)でも、法人税率の引き下げ措置が相次いでいる。
◆現在、韓国の法人税率の上限は、24.2%(法人住民税の2.2%を含む)だ。日本や米国、欧州より大方低く、チリやチェコ、シンガポール、ポーランドよりは高い。亞洲(アジュ)大学の玄鎮権(ヒョン・ジングォン)教授は、「先進国では、法人税資料が現実を正確に反映しているが、韓国は公式法人税のほかの準租税を含め、比較しなければならない」とし、「準租税を含めれば、韓国企業の実質的な税金の負担は、世界最高レベルになるだろう」と語った。韓国企業各社が、様々な負担金や望んでいない寄付金、社会保険料、事業主負担分などにより、昨年支払わされた準租税の総額は計32兆ウォンと、法人税の35兆ウォンに迫っている。
◆李明博(イ・ミョンバク)政権は当初、今年から法人税の最高税率を約2%引き下げる計画だった。しかし、民主党や民主労働党などの野党が、「富裕層減税」や「財閥減税」と烙印を押しながら反発し、税率の引き下げ時期が2年間延期となった。世界各国が財政難でも、法人税率を下げるのは、企業を優遇するためではなく、投資や雇用、所得を増大させ、国の競争力を引き上げるためのやむなき選択であるからだ。民主党には、財政経済部の税制室長を務めた金振杓(キム・ジンピョ)や李庸燮(イ・ヨンソブ)議員、経済省庁長官を経験した康奉均(カン・ボンギュン)や、張秉浣(チャン・ピョンワン)議員らがいる。このように事情の分かる人たちなのに、法人税を巡る所属政党の主張の偽りに沈黙している。
権純活(クォン・スンファル)論説委員 shkwon@donga.com