経産省所管の産業技術総合研究所(産総研)の研究データを中国企業に漏洩し、不正競争防止法違反として起訴された中国籍の元上級主任研究員・権恒道被告(61)が、2月25日、懲役2年6か月、執行猶予4年の有罪判決を言い渡された。
起訴状によると、権被告は上級主任研究員として営業秘密の管理を担っていた2018年4月13日、フッ素化合物の合成技術に関する研究データを産総研のアドレスから北京の化学製品製造企業にメールで送信したとされている。
また、データ送信先の中国企業は、権被告の妻が日本の代理店を代表しており、情報受信後1週間で中国で特許を出願し、2020年6月に取得していた。
被告は公判で無罪を主張していたが、裁判所は営業秘密開示に当たると判断した。検察側は2024年12月10日の公判で、懲役2年6か月、罰金200万円を求刑した。
朝日新聞の報道によると、判決では、東京地裁は営業秘密の開示行為を問題視しながら「長期にわたる在職中には研究員として相応の貢献もあった」などとして、権被告に対し懲役2年6か月、執行猶予4年、罰金200万円を言い渡した。
被告は「私は不当な利益を得る目的を持っていない。(事件は)私の人格に対する重大な侮辱だ」とし、問題のメールは自分ではなく他人が送信したと主張した。
権被告は2002年に産総研に雇用された後、2006年「国防七子」の1つである北京理工大学で教職を兼任し、学生を指導していた。これらの大学は、AI、兵器システム、航空宇宙工学などの分野で中国共産党軍と協力関係にあるとされ、米政府は制裁リスト(エンティティリスト)に一部の大学を指定している。
また、読売新聞によると、同氏は産総研に在職中、中国企業約10社の役員に就いていたと報じた。
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