バンダイナムコエンターテインメントより、2021年10月6日より配信がスタートしたスマートフォン向けアプリ『アイドルマスター SideM GROWING STARS』(以下、『サイスタ』)。本作の配信を記念して、天ヶ瀬冬馬を演じる寺島拓篤さんにインタビューを実施。冬馬とは約10年の付き合いとなる寺島さんに、冬馬や『サイスタ』への想いなどを語っていただいた。

※本記事は週刊ファミ通2021年11月11日号に掲載したインタビューに加筆、修正を行ったものです。
※本インタビューは10月上旬に実施しました。

『サイスタ』配信記念! 寺島拓篤さん(天ヶ瀬冬馬役)インタビュー。「冬馬に恥をかかせられないという想いで、ステージに立っています」
『サイスタ』配信記念! 寺島拓篤さん(天ヶ瀬冬馬役)インタビュー。「冬馬に恥をかかせられないという想いで、ステージに立っています」

寺島 拓篤(てらしま たくま)

12月20日生まれ、石川県出身。2004年に声優デビュー後、2005年に『創聖のアクエリオン』(アポロ/アポロニアス役)でテレビアニメ初主演を務める。声優活動のほか、アーティストとしても活躍している。(文中は、寺島)

紆余曲折ありながら いっしょに歩んできた10年間

――冬馬が初登場した『アイドルマスター2』から考えると、 約10年の付き合いになると思いますが、 彼と初めて会ったときのことは覚えていますか?

寺島僕はオーディションを経て冬馬を演じさせていただくこととなったのですが、そのときから、なんとなく「(冬馬役に)受かる気がする」と感じました。

――運命的な出会いというか、ビビッとくるものがあったのですね。そんな冬馬を演じるにあたり、意識されていることはありますか?

寺島初登場となる『アイドルマスター2』の冬馬は、765プロのアイドルやプロデューサーに対して明確な敵対心を持っていたので、僕も彼と同じように、プロデューサーやアイドルたちにしっかりとライバルだと感じてもらえるようなお芝居を心掛けていました。

――当時の冬馬たちは、ある種のヒール役でしたよね。その後、アニメ『アイドルマスター』が放送されたことで、彼らへの印象がガラッと変わった方も多いかと思います。

寺島765プロのアニメシリーズの中で、冬馬を含む“Jupiter”の知られざる一面が描かれたのは大きかったと思います。アニメでも、当初は黒井社長から指示を受けて765プロと敵対していましたが、物語が進むにつれて彼らも黒井社長の考えに反発し、 最終的には961プロを抜けて、自分たちの信じる道を行く様子が描かれました。彼らがしっかりと成長して、 自分たちの道を進むことを選んでくれたのは、僕も演じていてすごくうれしかったです。

――その後、961プロを抜けた彼らは、新天地の315プロでさらなる物語が描かれることなります。初めて『SideM』のことを聞いたときは、いかがでしたか?

寺島やっと冬馬たちにスポットが当たるということで、とてもうれしかったです。そんな冬馬ですが、315プロのアイドルたちとの交流を通じて、961プロの時代には見せなかった少年らしい一面やひたむきに努力する姿勢が見られるようになって、どんどんかわいくなっているなと感じています。

 やはり、961プロ時代は、どこか力んでいるところがあったのかなと。でも、最近の冬馬は自然な笑顔を見せることが多いなと感じていて。それはやはり、プロデューサーを始め、心を許せる仲間が増えたということが大きいのかなと思います。ですので、僕のお芝居のほうも以前よりも力を入れずに自然体で演じるようにしています。

――寺島さんにとって、冬馬はどのような存在なのでしょう?

寺島いつも自然体で、めちゃくちゃかっこよくて、かわいげもあって、成功しても失敗しても絵になるような存在と言いますか。彼は「目指すはトップアイドル、それだけだ!」と言っていますが、僕の中で天ヶ瀬冬馬は、まさにトップアイドルです!

――完璧なアイドルという存在なのですね。

寺島そうですね。強いところも弱いところも全部含めて魅力的です。それでいて、つねに向上心を持って努力を続けられる、素敵なアイドルですね。人前に立って誰かを笑顔にするということはどういうことなのかを教えてくれる存在でもあります。

『サイスタ』配信記念! 寺島拓篤さん(天ヶ瀬冬馬役)インタビュー。「冬馬に恥をかかせられないという想いで、ステージに立っています」
『サイスタ』配信記念! 寺島拓篤さん(天ヶ瀬冬馬役)インタビュー。「冬馬に恥をかかせられないという想いで、ステージに立っています」

――冬馬とご自身が似ているなと感じるところはありますか?

寺島個人的にはないと思っていますが、冬馬から学ぶことはとても多いです。とくに、 彼が自分のパフォーマンスに一切妥協せず、ストイックに励む姿勢からは感銘を受けています。ですので、僕も天ヶ瀬冬馬という名前を背負ってステージに立つ以上は、彼に恥をかかせられないという想いのもと、ライブの練習を行ったりしています。

 とくに『アイマス』では、アイドルとキャストの関係値というのを楽しまれている側面がとても大きいと思います。そして、ライブでのパフォーマンスはそれがもっとも顕著になる瞬間だと感じているので、僕が冬馬のイメージを崩すことはしたくない。がんばっている彼の足を引っ張るようなことはしたくないんです。だから、僕も妥協せずに練習に取り組むことを意識しています。

――同じユニットに所属する伊集院北斗と御手洗翔太のふたりも冬馬を語る上で欠かせない存在だと思います。彼らについてはどのような印象を持たれていますか?

寺島ふたりについても、時を重ねるごとに印象は変わっていますが、『アイドルマスター2』の北斗と翔太は、冬馬ほどアイドル活動に対するやる気や熱意などは備わっていないと、当時は思っていました。ですが、それは僕の思い違いで。2017年に放送された『THE IDOLM@STER Prologue SideM -Episode of Jupiter-』で、彼らは冬馬に負けないぐらい、アイドル活動に真摯に向き合いながら、真っすぐに突き進む冬馬とお互いを支えあっている関係なんだなということがわかりました。

 北斗はしっかり者で、かつ紳士的で人当たりがいい。翔太はあの歳で物事の本質を見抜くことに長けていて、場の空気を読んで道化を演じているところがあって。そんなふたりが傍にいてくれるおかげで、冬馬もリーダーシップをとって、自分の思う道を突き進めているんだなと、改めて実感しました。

――自分の思うアイドル道を突き進む冬馬をふたりが支えるという、いい関係性ですよね。『SideM』の活動を通じて、ふたりを演じる神原大地さんや松岡禎丞さんとイベントなどに出演される機会も増えたかと思います。おふたりの印象についてもお聞かせください。

寺島僕は『SideM』のキャストの中だと、年齢も声優としてのキャリアも重ねている方なので、気軽に話してかけてくれたりイジってくれるような人はあまりいなくて。ですが、神原くんは僕と同い年なので、気兼ねなく接してくれるんです。やはり、どうしても『SideM』の現場だと、「先輩らしくしないと」と気負ってしまうのですが、神原くんがいてくれると少し荷が下せるんですよね。ですので、僕は神原くんのことをとても頼りにしています。めちゃくちゃ趣味が合うわけではなく、頻繁に会話する仲というわけでもないのですが、いっしょにいると居心地のいい存在ですね。

――気の置けない仲だと。松岡さんについてはいかがですか?

寺島松岡くんは努力家ですね。ライブの練習なども、誰よりもがんばっている姿をよく目にします。そんな松岡くんを見て、「ああ、もっと練習しないと」と火をつけてくれるような、発破をかけてくれるような存在です。それに、現場で役を背負うと一気に御手洗翔太になるので、役者としてもすごいなと感じています。

――役者としてのプロ意識の高さを尊敬されているのですね。

寺島そうです。改めて、絶妙なバランスの3人が集まったなと感じています。劇中の冬馬のように、神原くんと松岡くんが隣に立ってくれているから僕も僕らしくいられますし、役者としても成長できているので、本当に幸せなことだと思っています。

『サイスタ』配信記念! 寺島拓篤さん(天ヶ瀬冬馬役)インタビュー。「冬馬に恥をかかせられないという想いで、ステージに立っています」
『サイスタ』配信記念! 寺島拓篤さん(天ヶ瀬冬馬役)インタビュー。「冬馬に恥をかかせられないという想いで、ステージに立っています」

――ここで少し、『SideM』の全体のお話についてお聞かせいただければと思います。『SideM』には数多くのアイドルやユニット、楽曲が存在しますが、寺島さんが個人的に好きなアイドルや楽曲を教えてください。

寺島僕は『SideM』を通じて、かわいい男の子が好きだということに気づいてしまったんです。ですので、ピエールと(神楽)麗くんが好きです。ふたりが出てくると顔が緩んじゃうくらいかわいくて。それと同時に、(ピエール役の)堀江(瞬)くんと現場がいっしょになることが多いのですが、現場ではよく彼のことを甘やかしてしまうことがあり、みんなから「やめろ」と言われています(笑)。

――キャストとアイドル、両方ともお気に入りなのですね。楽曲についてはいかがですか?

寺島どの楽曲も好きですが、“アルテ(Altessimo)”の楽曲がとくにお気に入りです。アルテの楽曲からは美しさを感じますが、その中にふたりが歩んできたことの重みというか、影のようなものを感じるんです。光があるから影があるという、彼らのドラマを楽曲から感じられて、聴いているとよく泣いてしまいます。

――なるほど。印象に残っているライブやイベントはありますか?

寺島どれも印象深いです。1st ライブ(※1)では“Jupiter”として5年越しにステージに立てましたし、3rdライブツアー(※2)では『Alice or Guilty』を披露できました。とても思い出深く、とく3rdライブツアーの映像はいまでもときどき見返すほどです。また、ライブを通じて、後輩の役者の子たちと距離を縮められたことも個人的にいい思い出として残っています。いつかのステージでお芝居する機会があったのですが、そのときに(橘)志狼役の古畑恵介くんと芝居について熱く語りあったことがありまして。芝居を通して繋がれた気がして、後輩との壁がひとつ崩れたと感じました。

 ほかには、“アイドルマスター SideM Five-St@r Party!! ”(※3)でダーツにチャレンジしたときに、まったく上手にできない僕を、みんながいい感じにフォローしてくれたりイジってくれたりして。そこでみんなと仲よくなれていることが実感できて、すごくうれしかったです。あと、今年の“プロデューサーミーティング”(※4)で、僕が腰痛のためにステージ上での生歌唱ができなくなったときに、それでも僕と冬馬のためにスタッフさんと役者のみんなが趣向を凝らしてステージを作り上げてくれたのもうれしかったですし、ありがたかったです。皆とこれからもいっしょに歩んでいきたいと、改めて感じられた瞬間でした。

※1 “THE IDOLM@STER SideM 1st STAGE〜ST@RTING!”。2015年12月6日に舞浜アンフィシアターで開催。昼夜2公演開催され、昼公演は“Sun Side”、夜公演は“Moon Side”として実施された。
※2 “THE IDOLM@STER SideM 3rdLIVE TOUR ~GLORIOUS ST@GE!~”。幕張、仙台、福岡、静岡の4都市を巡る『SideM』初の周年ライブツアー公演として、2018年2月〜4月に開催。“Jupiter”(寺島さん、神原さん、松岡さん)は2月3日の千葉・幕張イベントホール公演に出演。
※3 テレビアニメのスペシャルイベント。2018年5月20日にパシフィコ横浜にて開催。
※4 “THE IDOLM@STER SideM PRODUCER MEETING WELCOME TO PLEASURE 315 G@RDEN!!!”。 2021年3月13日、14日の2日間、東京都・武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナにて開催。2日間とも出演予定だった寺島さんは、急性腰痛のため、ステージ上での生歌唱は見合わせることとなった。

――舞台裏での出来事も、いい思い出として心に残っているのですね。個人的には、3rdライブ千葉・幕張イベントホール公演初日の『Alice or Guilty』から『BRAND NEW FIELD』の流れが大好きです。

寺島ありがたいことに、たくさんのプロデューサーの方々があのセットリストを褒めてくださっていますし、僕自身も感慨深いセットリストだなと感じています。自分はもちろん、プロデューサーさんも満足してくれているということで、がんばってよかったなと思います。

――あのセットリストを初めて見たときは、どういうお気持ちだったんですか?

寺島記憶が少し曖昧なのですが、どうやら僕や神原くんや松岡くんが提案したみたいで。確かもともとは、『Alice or Guilty』と『BRAND NEW FIELD』の順番が離れていたんです。それで誰かが「(2曲の順番を)くっつけて早着替えもやったら盛り上がるんじゃない?」と言い出して、「絶対にそっちのほうがいいね!」と決まっていった感じだったような記憶があります。

――そうだったんですね。めちゃくちゃエモかったです。

寺島僕がいま見てもエモいです(笑)。ロゴが変わるとかも最高でしたよね。

――本当に最高でした! あっ、ただのプロデューサーになってしまって、すみません(笑)。ちなみに、今後のライブなどで挑戦してみたいことはありますか?

寺島“Jupiter”はまだトロッコに乗ったことがないんですよね。ライブの規模も年々大きくなってきているので、トロッコでプロデューサーさんの近くに行ってみたいです。

――2019年には、東京ドームで開催されたバンダイナムコエンターテインメントフェスティバル(※5)への出演などもありましたしね。

※5 バンダイナムコグループから生まれたアイドルやタイトルのテーマソング・主題歌を担当するアーティストが出演したライブ。2019年10月19日、20日の2日間、東京ドームにて開催。『SideM』は公演1日目に出演した。

寺島バンダイナムコエンターテインメントフェスティバルは、「ついにドームまできたか!」としびれましたね。もちろん、フェスという形ではありますが、東京ドームのステージに『SideM』のメンバーで立つというのは、めちゃくちゃおもしろかったです。あと、765プロと同じ看板のもとでパフォーマンスできたというのも、「本当にここまで来たんだ」と感慨深かったですね。楽屋挨拶とかはしなかったですけど、終わってから写真を撮ったのはうれしかった……というか「やったぜ!」という感じがしました。

――ここからは、『サイスタ』のお話を伺えればと思います。『サイスタ』を作っているというお話を初めて聞いたときは、どのように感じましたか?

寺島『サイスタ』のことを最初に聞いたときは、正直、驚きました。ストーリーを改めていちから始めることもそうですし、新しいユニットが加わることも。現状の315プロのアイドルやユニット間の関係性がとても心地よいものだと感じていたので、最初は戸惑いがありました。ですが、情報が公開されたときに、プロデューサーさんが喜んでくださっているのを見て、『SideM』はもっといろいろなことをやってもいいんだと気づきました。いま考えてみると、当時の僕は頭が固かったのだと思います。

――むしろ、新しい可能性が広がったと。

寺島そうです。実際、新しく加わるアイドルの役者の子たちと生配信の現場などで話してみて、これからの『SideM』に期待が持てるなと感じましたし、作品的にも、これまでよりさらに個々のアイドルに着目したエピソードも登場するので、よりアイドルのことを深く知ってもらえるのではないかと胸が高鳴りました。ただ一方で、アイドルになる前の冬馬のお話も登場したりするので、「どの時系列のお話なんだ?」と、最初はお芝居をする上で悩んだりもしました。

――では、演技の方向性なども変えたりしたのですか?

寺島方向性を変えるというよりは、961プロに所属する前の冬馬は、当然961プロや315プロでの出来事は知らないはずなので、そこは意識しました。また、これまで僕にとっての冬馬のスタート位置は961プロ時代だったのですが、それよりも前が描かれたことによって、そこも改めて見直さないといけないなと思いました。彼にとってはそのときの経験があったからこそ、いまがあるはずなので。だからこそ、これまでの冬馬の人生を振り返りながら、新しい彼の物語に息を吹き込む必要があると思いますし、そうすることでより物語の深みが増すのではないかと考えています。

――なるほど。ちなみにそんな冬馬は、天道輝、天峰秀とともにこのインタビューが掲載されている週刊ファミ通の表紙を飾っていますが、3人の仕事ぶりはいかがですか?

『サイスタ』配信記念! 寺島拓篤さん(天ヶ瀬冬馬役)インタビュー。「冬馬に恥をかかせられないという想いで、ステージに立っています」

寺島冬馬のベテラン感がすごいですね。というより、天道さんがちょっと天真爛漫すぎますよね(笑)。大人なのに、すごくキラッキラしていて。天峰秀くんも、どちらかというと落ち着いているタイプなので、冬馬から「本当に17歳だよな?」と思うくらい玄人アイドル感が出ていて、かっこよくてしびれました。

――「雑誌の仕事ってこういうことだろ」というような余裕を感じますよね。

寺島そうなんですよ! 「しっかり作り込んできたな」と思うと同時に、やっぱりちょっとウキウキしているようにも感じます。僕が勝手に感じているだけかもしれませんが、そういうところまで含めて天ヶ瀬冬馬はすごいなと思うし、早くもここまで決められる天峰秀もすごいですね。そして、未だこんなに天真爛漫で居られる天道輝もすごいと思います。

――最後にプロデューサーさんにメッセージをお願いします。

寺島紆余曲折を経て、“Jupiter”がたどり着いた315プロが、またこうしてさらなる輝きを得られる場所ができました。僕もひとりのプロデューサーとして、「新しい仲間といっしょに、新たなステージに立てて、本当によかったね」と冬馬に伝えたいくらい、とてもうれしく思っています。本作を皆さんに遊んでいただくことで、冬馬や315プロのアイドルたちの新しい魅力が発見できると思いますので、これからも本作と315プロの応援をよろしくお願いします!

『サイスタ』配信記念! 寺島拓篤さん(天ヶ瀬冬馬役)インタビュー。「冬馬に恥をかかせられないという想いで、ステージに立っています」

週刊ファミ通で『サイスタ』配信記念特集を掲載

 10月28日に発売した週刊ファミ通2021年11月11日号にて、本インタビューを含む特集企画を掲載。『サイスタ』に登場する全ユニット&アイドルの紹介や表紙を飾った天ヶ瀬冬馬、天道輝、天峰秀へのインタビューなどを24ページにわたる特集となっている。

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