ポーランドのゲームスタジオ11 bit Studiosが、同スタジオの代表作『This War of Mine』について、今後1週間に同作およびダウンロードコンテンツ(DLC)から得られる全利益をウクライナ赤十字社に寄付することを発表した。

 これは、ロシアによるポーランドの隣国ウクライナへの侵攻を受けて発表されたもの。『This War of Mine』は戦時下の市民の過酷なサバイバルを描くシミュレーションゲームで、過去にも戦争の被害を受けた子供に対する寄付のためのチャリティDLC“War Child”などを提供している。なお本作はPC・家庭用ゲーム機・モバイルのマルチプラットフォームで日本向けにも販売されている。

 今回の取り組みでは11 bit Studios側は収益から何も受け取らないとのことで、同じくポーランドのCD Projektが運営するPCゲーム配信プラットフォームのGOG.comでも、同作品の販売額のうちのGOG側の取り分の全利益を同じく寄付することを発表している。

ウクライナのゲーム業界にも影響必至か

 一方、ウクライナの首都キエフなどに戦火が迫っていて避難の流れも起こっているなか、近年成長してきたウクライナのゲーム業界でも影響は避けられない状況だ。

 キエフにはFPS『S.T.A.L.K.E.R. 』シリーズのGSC Game Worldのほか、FPS『メトロ』シリーズの4A Games(※)、シャーロック・ホームズものの推理アドベンチャーゲームやオープンワールドアクション『The Sinking City』を開発したFrogwaresなどがあり、FrogwaresやGSCは公式にロシアに対する抗議の声明を発表している。(※本社機能自体は2014年のウクライナ危機の際にマルタに移行)

 Frogwaresの声明で触れられているように現在の状況が各社の業務にも影響することは想像に難くなく、特に2022年末の発売に向けて開発の追い込みが進められていたGSCの最新作『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chernobyl』には大きな痛手となるだろう。

 またインディーゲーム界隈でも、2022年4月にTeam 17からアクションアドベンチャーゲーム『The Serpent Rogue』の発売を予定していたSengi Gamesが質問等への対応が難しくなる旨を投稿していたり、インディーパブリッシャーtinyBuildのCEOであるAlex Nichiporchik氏がウクライナ在住の関係者の避難やウクライナ西部への移転の支援などを進めていることを公表している。