展覧会「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s」が、東京・六本木の国立新美術館にて、2025年3月19日(水)から6月30日(月)まで開催される。その後、兵庫県立美術館に巡回する。

傑作14邸を中心に、20世紀の住まいの探求を紹介

現代の暮らしには、居間やキッチンを間取りの中心とし、快適な衛生設備と家族の個室を備えた戸建て住宅が広く浸透している。しかし戸建て住宅とは、歴史的には、第二次世界大戦後に核家族が主流となるとともに広がった、比較的新しいかたちの住まいである。こうした住宅は、1920年代以降、ル・コルビュジエやルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエをはじめとする建築家によって探求されたものであった。

展覧会「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s」では、戸建て住宅という住まいの革新が国際的に広がっていった、1920年代から1970年代にかけての展開を紹介。ル・コルビュジエの《ヴィラ・ル・ラク》やフランク・ゲーリーの《フランク＆ベルタ・ゲーリー邸》、菊竹清訓・菊竹紀枝の《スカイハウス》といった14邸の傑作を中心に、20世紀の住まいの探求をたどってゆく。

1920〜70年代における戸建て住宅の探求

1920年代から1970年代にかけて建てられたモダン・ハウスは、従来の暮らしを問い直し、快適性や機能性、芸術性の向上を試みた建築家たちによって設計されたものであった。これらは、国際的に広まったモダニズム建築の造形に呼応しつつも、時代、地域、気候風土、あるいは社会と結びつき、家族の属性や住まい手の個性を反映するなど、それぞれの住宅に固有のコンテクストと不可分なものであった。

モダン・ハウスの試みを多角的に紹介

本展では、20世紀における住宅の革新を、衛生、素材、窓、キッチン、調度、メディア、ランドスケープという、モダン・ハウスを特徴付ける7つの視点から紹介。図面、模型、外観や内観の写真に加えて、建築家自らが描いたドローイング、家具、テキスタイル、食器、雑誌やグラフィックなどを交えつつ、戸建て住宅の探求を多角的に紹介する。

名作家具や照明器具

また、住宅のデザインとともに、椅子や机といった家具、照明器具も展示。建築家が住まいに合わせて手がけた家具や照明器具のデザインは、今なお古びることがなく、その多くは今なお生産され、使い続けられている。会場では、マルセル・ブロイヤー《サイドチェア B32》といった名作家具や照明器具を目にすることができる。加えて、同時代にデザインされ、現在も使われている名作家具を体感できるコーナーも設置する予定だ。

ミース・ファン・デル・ローエのプロジェクト「ロー・ハウス」が実現

さらに、本展では、ミース・ファン・デル・ローエによる未完のプロジェクト「ロー・ハウス」を原寸大で実現する。

展覧会概要

展覧会「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s」
会期：2025年3月19日(水)〜6月30日(月)
会場：国立新美術館 企画展示室1E/2E
住所：東京都港区六本木7-22-2
開館時間：10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
※入場はいずれも閉館30分前まで
休館日：火曜日(4月29日(火・祝)、5月6日(火・祝)は開館)、5月7日(水)
観覧料：一般 1,800円、大学生 1,000円、高校生 500円、中学生以下 無料
※障害者手帳の持参者(付添者1名含む)は入場無料
※一部無料で観覧可能な展示あり

■14邸の鍵となる住宅
ル・コルビュジエ《ヴィラ・ル・ラク》1923年、藤井厚二《聴竹居》1928年、ミース・ファン・デル・ローエ《トゥーゲントハット邸》1930年、ピエール・シャロー《ガラスの家》1932年、土浦亀城《土浦亀城邸》1935年、リナ・ボ・バルディ《ガラスの家》1951年、広瀬鎌二《SH-1》1953年、アルヴァ・アアルト《ムーラッツァロの実験住宅》1953年、ジャン・プルーヴェ《ナンシーの家》1954年、エーロ・サーリネン／アレキサンダー・ジラード／ダン・カイリー《ミラー邸》1957年、菊竹清訓／菊竹紀枝《スカイハウス》1958年、ピエール・コーニッグ《ケース・スタディ・ハウス #22》1959年、ルイス・カーン《フィッシャー邸》1967年、フランク・ゲーリー《フランク＆ベルタ・ゲーリー邸》1978年

■巡回情報
・兵庫会場
会期(予定)：2025年9月20日(土)〜2026年1月4日(日)
会場：兵庫県立美術館
住所：兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1

【問い合わせ先】
TEL：050-5541-8600(ハローダイヤル)