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FICC ナレッジブログ

刈り取り広告と併用して利益を最大化するデジタル広告への取り組み方

通販や保険、金融や教育といった業界で取り組まれることが多いダイレクトマーケティングは、デジタルの普及によって手法が大きく変わったマーケティングの1つです。特にリスティング広告やリターゲティング広告などのダイレクトレスポンス広告が登場して以降、これらの手法は刈り取り広告として多用されてきました。

リスティング広告やリターゲティング広告は多くの企業が取り入れていますが、ノウハウの成熟によって最適化が進み、CPA(顧客獲得単価)の下げ止まりや顧客獲得数の増加が頭打ちになっているケースも見受けられます。刈り取り広告だけではビジネス成長が鈍化しつつあるデジタル広告で今後どのようなアプローチが必要になるのでしょうか。

1. 刈り取り広告の課題と解決方法

リスティング広告やリターゲティング広告などの刈り取り広告は「顕在化した需要に対して接触できる広告」であり、売上に直結しやすいことから多用されています。一方でリスティング広告にはキーワードの月間検索数、リターゲティング広告にはサイト訪問数など、接触できるユーザーに限りがあります。刈り取り広告は「顕在化した需要内での最適化」となることから、需要を刈り取りつくしてしまうとCPAの上昇や獲得数の減少が起こります。

刈り取り広告の課題に対するシンプルな解決方法は「需要を顕在化させて新規見込み顧客を獲得する」ことです。需要が顕在化することで、刈り取り広告で接触できる新規の見込み顧客が増加し、CPAを下げることや顧客獲得数の増加が見込めます。

下記図のように新規見込み顧客の獲得は態度変容ファネルの上部にあたります。一方で刈り取り広告による顧客獲得はファネルの下部になります。ファネル毎の役割を明確化し、上部から下部までファネル全体を最適化することが重要であり、弊社では「フルファネル・マーケティング」と呼んでいます。

フルファネル・マーケティングの概念を理解し、各ファネルのユーザーに対して、適切なデジタル広告で接触することが刈り取り広告の課題を解決するための糸口になります。

2. 需要を顕在化させるファネル上部へのデジタル広告

それではファネル上部へ接触するためには、どのような広告を活用するべきなのでしょうか。

これまでファネル上部へのアプローチとして多くの企業がテレビCM等のマス広告を利用してきました。マス広告の影響力は未だに絶大であり、多くのユーザーに接触する目的として適しています。

しかし、マス広告はデジタル広告と比較すると大きな予算が必要であり、性別や年齢等の条件でターゲティングすることも難しいです。そのため、ダイレクトマーケティングを活用し、ターゲットが絞られているブランドには投資対効果の面から最適とはいえません。

一方、デジタル広告でもオーディエンスターゲティングができるディスプレイ広告でファネル上部へアプローチする試みが行われていますが、ターゲティング精度の問題でターゲットユーザーに接触できる確率が低く、こちらも投資対効果の面から最適とはいえない状況でした。

そんな状況で登場したのがFacebook広告です。Facebookはユーザー自身が登録した情報や行動データなど、様々なデータを使用してターゲティングするため、非常に精度が高いメディアです。

Facebookのようなメディアを活用すれば、正確にターゲットに対して接触することが可能であり、投資対効果の面からもファネル上部への有効的なアプローチ手法といえるでしょう。

3. デジタル広告を中心としたフルファネル・マーケティング

デジタル広告を中心としたフルファネル・マーケティングの具体例を簡単に紹介します。まずはブランドに適したファネルを定義していきます。ダイレクトマーケティングの場合はファネルが複雑になる傾向がありますが、今回はわかりやすく認知→興味&契約意向→契約の3ステップで考えてきます。

3.1. 認知

まずは需要を顕在化させることを目的とした認知の獲得です。ここでは顧客となる可能性の高いターゲット層にブランドを認知してもらうことが重要になります。

例えば現在の顧客情報等のデータを活用し、複数のターゲットセグメントを設定します。同様にブランドの強みなどからコミュニケーションする訴求軸も複数設定していきます。このターゲットセグメントと訴求軸を掛け合わせてFacebook広告を配信します。配信中は効果測定を行いながら、効果の高いターゲットセグメントと訴求軸に合わせて配信を最適化していきます。

配信後は結果から、どのターゲットセグメントにどの訴求軸が響いていたのかを分析することで、今後のコミュニケーションの参考にすることができます。

3.2. 興味&契約意向

続いては新規見込み顧客の獲得を目的とした興味&契約意向の獲得です。ブランドを認知したユーザーに対して興味&契約意向を促すためのコンテンツへ誘導していきます。認知段階で配信したFacebook広告の遷移先を興味&契約意向獲得コンテンツとして、コンテンツ内で興味&契約意向を促す内容を訴求することなどが考えられます。

また最近ではデジタル動画広告を活用し、動画を最後まで視聴してもらうことで、認知から興味&契約意向まで一気に訴求しているケースもあります。

3.3. 契約

最後は顧客獲得を目的とした契約の獲得です。ブランドに興味&契約意向を持ったユーザーに対して契約を促すランディングページ等に誘導します。

ここで刈り取り広告を活用することができます。興味&契約意向段階で離脱してしまったユーザーにはリターゲティング広告が有効です。また、すぐに契約に結びつかない商材の場合、検討期間終了後にブランド名や関連するキーワード名で検索される可能性があるため、リスティング広告を活用することで機会損失を防ぎます。

4. CPAの最適化ではなく利益の最大化を

上記のようなフルファネル・マーケティングを実施する際に注意しなければいけないことがKPIの設定です。

KPIをCPAだけとしてしまうと顧客獲得に直結しないファネル上部へ費用を投資するため、初期段階ではCPAが上昇する可能性が高く、失敗とみなされてしまう場合があります。フルファネル・マーケティングに取り組む背景は「刈り取り広告のみによる顧客獲得数の頭打ち」であり、目的は「利益の最大化」です。この場合のKPIは新規顧客獲得数とCPAであり、KGIは利益となります。

数値は仮となりますが「刈り取り広告のみ」と「フルファネル・マーケティング」で比較してみましょう。

一見すると刈り取り広告のみの方がCPAが安価でROIも高く、良い施策に思えます。しかし、刈り取り広告のみはCPAの最適化で運用をしており、顕在需要から考えた場合、費用の400万円は限界投資額です。仮に400万円以上の予算があったとしても、同じCPAで新規顧客は獲得できず、CPAの上昇を理解した上で投資を行う必要があります。

一方のフルファネル・マーケティングは需要の顕在化を同時に行っているため、投資を行うことで、新規顧客獲得数は大幅に増加し、最終的な利益も刈り取り広告より大きくなります。また、施策を継続していくことで需要の顕在化による新規見込み顧客も増加するため、CPAを下げ、更に大きな利益を獲得することも期待できます。

5. 継続したビジネス成長を描くために

短期的な数値だけでデジタル広告への投資を判断する場合は投資対効果の高い刈り取り広告が選ばれることが多いと思います。しかし、最初に述べたように刈り取り広告は「顕在化した需要内での最適化」です。

継続的に顧客を獲得し、ビジネス成長を続けるためには需要の顕在化から、顧客の獲得までワンストップで行うフルファネル・マーケティングの考え方に基づき、ファネル上部に対するデジタル広告施策も同時に実施していく必要があるのではないでしょうか。

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