政府が少子化対策の一環として、「若者のライフデザインや出会いの支援」、いわゆる婚活支援に乗り出す方針であることがFNNの取材で新たに分かった。若い世代が、結婚を含む自分の将来を考えるきっかけを後押しする狙いがある。
こども家庭庁は19日に検討会を立ち上げ、若者や専門家の意見を聞いたうえで、2025年度の概算要求に盛り込みたい考えだ。
若い世代のニーズにあった支援目指す
2023年の婚姻数は47万4717組で、戦後初めて50万組を下回った。また、2023年に生まれた赤ちゃんは72万7277人で過去最少となり、1人の女性が産む子どもの数の指標となる合計特殊出生率も1.20で8年連続で過去最低となったことも記憶に新しい。
結婚する人が少なくなっている現状が少子化の背景にあるとみて、こども家庭庁が新事業の創設も視野に検討を始める「若者のライフデザインや出会いの支援」。結婚や出産などライフイベントについて多様な考え方が尊重される昨今、人生の選択肢が増えた若い世代が、結婚や出産についてどのように考え、いつどんな支援を求めているのかを探り、ニーズにあった支援を目指す。
この記事の画像(4枚)こども家庭庁は、19日に「若い世代の描くライフデザインや出会いを考えるワーキンググループ」と題した検討会を立ち上げ、現役の大学生のほか、結婚相談所や人口動態の専門家を交え、具体策について議論する方針だ。検討会では、政府の新たな婚活支援策についても議論される見通しだ。
結婚支援事業大手 株式会社IBJ・石坂茂社長は、「潜在的にパートナーを求めたり結婚したいと思っている人は多くいるが、まだまだ民間のサービスを利用していない」と指摘する。そうした人に婚活サービスを利用してもらうきっかけとなる政府の婚活支援は意義があるという。一方で、「自治体によって非常に差があるため、研修を行ったりガイドラインを明確にしたりすることでもっと良くなるはずだ」としている。
「プレコンセプションケア」への関心高まる
また、婚姻数の上昇が少子化対策に直接効果をもたらすのか疑問の声もある中で、女性やカップルに将来の妊娠のための健康教育を促す取り組み「プレコンセプションケア」の啓発などが必要だという声もある。性や妊娠に関する正しい知識を身につけることは、男女ともに人生の選択肢を広げるきっかけになるからだ。
最近では福利厚生の一環として、卵巣内に残る卵子の数の目安を調べられる「AMH検査」の機会を提供する企業も増えるなど、関心も高まってきている。
こども家庭庁は今後、検討会での議論を踏まえ、2025年度の概算要求に「若者のライフデザインや出会いの支援」に関する予算を盛り込みたい考えだ。