内閣不信任の国会投票で、先週12月4日辞任となったミシェル・バルニエ前首相。
ということで現職のマクロンさんは、新首相を任命しないとならない。
選任は簡単だが、またも内閣不信任となれば、選任の意味がない。
何故なら、現在のマクロン党は、国会の議席数は約4分の1程度で過半数いかず、連立もくめず、ミシェル・バルニエ前首相は、内閣不信任となり、内閣は解散。
新首相に任命されたフランソワ・バイルさん(フランス語的にはバエルと発音)は、不信任を避けられるのか?
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フランソワ・バイル新首相
新首相フランソワ・バイル
今日12月13日にマクロン大統領より任命されたバイル首相です。
前任のバル二エ前首相
前任者のバルニエ首相内閣は、2025年予算案を巡る対立の中で内閣不信任案が可決され、総辞職を余儀なくされました。
これも前任のル・メール経済大臣の任期中に跳ね上がった財政赤字が原因で、急遽財政赤字の再建のため、バル二エ政権の予算カット案をだし、野党が不信任をしたのです。
首相としての任期も第五共和制で最短の3か月で終わったのです。
『passation du pouvoir』権力の移譲お昼に任命され、夕方にはバル二エ前首相との『passation du pouvoir』、首相官邸で二人のスピーチがあり、前任のバル二エさんから、バイル首相へ権力の移譲がされました。
マジョリティーでない与党の宿命
政府の国会の議席が過半数を大きく下回ったのは、今年2024年夏。
欧州議会で議席数を減らし、マクロンさんが国会をわざわざ解散。
寝耳に水のマクロン党員は『あっと』驚き、解散のあとは投票となり、蓋を開けると、マクロン党はフランス議会で議席数を減らしてしまい、目も当てられなくなりました。
フランス議会は左派、右派、中道派の三極に分裂し、いずれの勢力も議会の過半数を確保できない膠着状態が続いています。
つまり、バル二エ政権でも、他のだれが首相でも、不信任のリスクがあるのですね。
『国会を解散した顚末はこちら↓』
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フランソワ・バイル新首相の選任
フランスは現第5共和制、法律が変わらない限り、大統領が首相を選任できる状況です。
首相はフランス議会の長なので、フランス議会で多数派の党から選任されるのがロジックですが、大統領が選任できるのが、フランス第五共和制の特徴です。
なので、マクロン党の議席が少なくとも、右派よりのバル二エ前首相が任命されたのです。
フランソワ・バイルさんってどんな人?
バル二エ前首相の後任はフランソワ・バイルさん。
中道派の民主運動(MoDem)の党首。1990年代には教育相を務め、大臣経験のある人で、現在はポー市の市長。
これまでも、大統領選に立候補はしてきたが、2017年には予算不足で戦えず、マクロンさんを支持。
尽力したこともあり、今回は首相への道が開けたといえます。
フランソワ・バイルさん民主運動(MoDem)の大きさ
任命の動機については、バイユさんの党、現在の「民主運動(MoDem)」の国会での議席数もあります。
約30と極小ですが、全体の577議席のなか小さい規模ですが、過半数いかないマクロン党にはなくてはならない党。
今朝バイルさんとマクロンさんの会合は、1時間40分もの続き、それでも任命されず、お昼すぎにずれ込んだ任命でした。
新首相フランソワ・バイルさんの不信任リスク
バイル首相にもまたまた内閣不信認のリスクがあるのは、バル二エ政権と同じです。
不信任のリスクは同じ中、議会内での支持をどのように確保するかです。
なにせル・メール経済大臣時代に膨らんだ赤字で、利子を莫大に払っているフランスです。
2025年の予算を通すと、不信任となるリスク大です。
フランソワ・バイル新首相のスピーチ
今日の首相官邸でバエル首相と新首相の間で、権威移譲のスピーチがありました。
バイル首相のスピーチから5フレーズ
- « Nul plus que moi ne connaît la difficulté de la situation budgétaire »
「私以上に現在の財政状況の困難さを知る者はいない。」
- « Je n’ignore rien de l’Himalaya qui se dresse devant nous, des difficultés de toute nature »
「私たちの前に立ちはだかるヒマラヤのような課題や、あらゆる種類の困難を私は決して無視しない。」
- « Combattre » le « mur de verre qui s’est construit entre les citoyens et le pouvoir ».
「市民と権力の間に築かれた『ガラスの壁』と戦う。」
- Lutter contre « l’idée » fataliste d’un « destin dont on n’était plus maître et dans lequel on n’avait aucune chance de progression ».
「もはや自分では制御できず、進展の望みがないという宿命論的な『運命』の考えに抗う。」
- « A mon tour, essayer de servir cette réconciliation nécessaire »
「今度は私が、この必要不可欠な和解に貢献しようと努力する番だ。」
これらの発言は、現在の困難な状況に対するバイル首相の認識と、改革への意志を反映しています。
野党の反応と不信任のリスク
国会で議席数が多いのは、左派連合。
議席数に応じた首相任命がされず、内閣を不信任するとすでに表明しています。
財政赤字について
首相は、借金は単なる財政の問題ではありません(その点は重要です)。それは「道徳的な問題でもあります。つまり、私たちが子供たちに何を残すのかということです。」
最初に発言したのは、「赤字は魔法のように消えるものではない」と指摘。「それを忘れるのは間違いだ」と述べ、「それに伴う借金も同様であり、それを放置すれば、容赦なく私たちに跳ね返ってくるだろう」と強調しました。
参照サイト
publicsenat
20MINUTES
格付け会社(スタンダード&プアーズ(S&P)、ムーディーズ、フィッチ)の格付け
任命早々、会社からの評価が下がったフランス。
格付け会社の評価
Moody's dégrade la note souveraine de la France, cadeau d'arrivée amer pour François Bayrou
Paris. Paris - L'agence Moody's n'a guère laissé à François Bayrou le temps de s'installer à Matignon vendredi, dégradant dans les heures suivantes la note souveraine de la France, au vu de la "fragmentation politique" du pays, peu propice selon elle au rétablissement rapide des finances publiques.
訳➡ムーディーズ、フランスの信用格付けを引き下げ。フランソワ・バイル首相への苦い門出の贈り物
パリ発 - 格付け会社ムーディーズは、フランソワ・バイル氏が金曜日に首相官邸(マティニョン)に着任するのを待つ間もなく、数時間後にフランスの信用格付けを引き下げました。同社は、フランス国内の「政治的分裂」が、公共財政の迅速な回復を困難にしていることを引き下げの理由として挙げています。
引用元
エクスプレス
まとめ
新首相の任命後、即座に、難しい舵取りですが、国民との距離感として、貧困層にある市民との距離感をちじめる意思を反映させたいとも言っていました。
権力の間に存在する信頼の欠如を克服し、政治への信頼を再構築する必要があります。
期待したいですね。
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